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吉田正尚という天才打者。天才を証明付けるポイント。

オリックスファンの救世主として祀られるのが吉田ではないでしょうか。

2016年に頭角を現した中距離打者です。

活躍し始めの2016年は本塁打の豪快さから、小柄ながらも40本を狙えるロングヒッターとしての期待をされていました。

しかし、場数を踏むにしたがって相手投手のウイニングショットを外野の前に落としたり、外野の間を抜いたりする「数字が残る打撃」を体得しました。

カウント2-0からでも、あらゆるボールに食らいついてヒットゾーンに落とす打撃は厄介極まりなく、多くのバッテリーは手を焼くことになります。

 

期待されていたホームランではなく、バットコントロールの面において才能を開花させたわけですが、ここまで率が残せる4番が座っていれば、扇風機のようなスラッガーよりも厄介だと言えます。

 

今では、ホームランも打てるアベレージヒッターとして、オリックス打線をけん引しています。

吉田正尚の魅力

チーム状態に左右されないその安定感は頼もしいの一言で、最下位に沈んでいる時も、首位を走っている時も黙々とバットを振り京セラドームに快音を残します。

恵まれた肉体から生まれる打球はレフト、ライト、センター。そしてライトスタンド。

相手投手に合わせて、最適解を生み出すバットコントロールは球界でも随一です。

球団を超えて、他球団からも親しまれるバットマン。

吉田はどんなバッター?

球界最高峰の打者です。

バッターとしての必須項目、

長打力、ミート力、出塁率、得点力、オーラ。

そのすべてにおいて、高いパラメータを誇っている選手です。

吉田を抑えるのは難しい。

吉田を完璧に抑えることは難しいです。

2021年に喫した三振は110試合で26個。

それに対してホームランは21本ですから、吉田にとって三振をすることはホームランを打つのに近いぐらいのレア度なのです。

三振をしないことの厄介さは後述しますが、ともかくすごいです。

比較するのはあれですが、大谷翔平が46本のホームランを打つのに180を超える三振を喫していることを考えれば、いかにすさまじいのか分かります。

プロ野球と三振

アウトの稼ぎ方で最も安定しているのが、三振を取ることです。

バットに当てさせないということで、一つのチャンスも生まれない三振は最も理想とされています。

プロ野球選手になるためにはまず球の速さが重視されますが、それは三振を初めとした組み立てにボールのスピードが必要不可欠になるからです。

三振を取ることは、プロの投手にとって生命線なのです。

しかし、吉田は全く三振をしないバッターです。

プロ野球の投手がいかにすごいか話したい。

一流の投手には勝ちパターンというものがあります。

いい投手となると、そのパターンを2つ、3つもっているのです。ダルビッシュ有なんかはストライク→ボールになるスライダー。

アウトコースいっぱいに決まる96マイルの4シーム、縦に落ちるナックルカーブなど、その手段は実に多彩です。

日本の一流投手もダルビッシュ程ではないにしろ、そういった三振の取り方をいくつか持っています。

プロ野球の投手はプロの投手であると同時に、「三振を取るプロ」でもあるのです。

そういった化け物がうじゃうじゃいるプロ野球の世界で、吉田はほぼほぼ三振しないのです。

しかも、ただ三振をしないのではありません。

例えば、非力な8番バッターが四球狙いのためにファールで粘り、出塁したりします。

それとは違うということです。

しっかりとヒットゾーンを狙って、三振をしません。ちょこんと当てたような打球でも3塁線を抜ける長打になったりします。

ですから、いかに恐ろしいバッターなのか分かります。

三振を取れないことの総括

ピッチャーが三振を取ることはそのバッターを完全に上回った証ともいえますが、吉田は

相手投手に完全勝利をさせない

ということで、たとえ凡退をしても何かしらの爪痕を残すのですから、本当に嫌なバッターです。

吉田のコンタクト力

さて、吉田のコンタクト力を支えているのは、以下の点になると思っています。

  • 足腰の強さ
  • スイングの速さ
  • 左打者であること(体が開きにくい)

足腰の強さ

吉田の粘り腰は球界でも随一だと思います。

プロ野球だけに限らないですが、あらゆるボールの中でもっとも三振を奪えるボールは、低めに鋭く沈む変化球です。

ある投手はフォーク、ある投手はナックルカーブ、またある投手は縦のスライダー。

バットは横方向に伸びているので、横への変化にはついていきやすいのですが、縦に落ちるボールを捉えるには向いていません。

だから、三振能力が高い投手はこぞって縦に鋭く落ちる変化球を持っています。ダルビッシュも縦のカーブを持っており、これは130キロほどです。鋭く落ちてホームベース後ろでワンバウンドします。

日本の投手はカーブも一つですが、フォークボールを良く投じます。落差が大きいフォークも投じますが、150キロ近いスプリットを投げる投手もいます。

いわゆるウイニングショットと呼ばれるボールです。

 

こういったボールを自在に扱ってくる投手に2ストライクに追い込まれるとチャンスはほぼありません。

しかし、吉田はこれをヒットにします。

ストレート狙いで構えているところに、ストンと落ちるフォークや緩いカーブが来ても壁が崩れずに、ちょこんと当てるのです。

そして、キレイにセンターに返します。これが出来るのは強い足腰が一つであると思います。

普通140キロ近いフォークなどが来れば、耐えきれずにバットが回ってしまうものです。しかし、吉田は強靭な足腰でフォームを維持し、体が泳いでいる状態でも、きっちりとスイートスポットにアジャストしてしまうのです。

スイングの速さ

そして、なんと言ってもスイングの速さが一つでしょう。

吉田正尚の打撃フォームを見てみると、テイクバックをほとんどとっていません。

本来バッターはキャッチャー側に手を引いて、反動をつけてバットを振ります。

反動をつけることによって、ヘッドスピードが向上し、それによって打球の速度が増します。

しかし、吉田は地の筋力がすさまじく、0→100の出力が出来るのでテイクバックを必要としていないのです。

これは、松井秀喜の打撃に類似していると分析します。あと、稲葉もこれに近い打ち方だったような気がします。

 

テイクバックを取らないメリットはボールへの距離が最短距離になる点です。

テイクバックを取れば、その分、バットの移動距離が長くなるので振出しからコンタクトにタイムラグが生じます。

そうすると、イメージと現実のギャップが生まれ差し込まれたり、タイミングをずらされたりするのです。

 

小さいテイクバックにすると、反動をつけずに後はバットをポンと出すだけになるので、ミートの難易度が下がると言うカラクリです。

松井秀喜は50本の本塁打におまけする形で3割3分の打率を叩きだしていましたが、やはりこれもテイクバックの小ささが関係すると思います。

日本最終年の松井も多少外されてもスイートスポットに当てる技術を持っていました。

膝をつくぐらいにタイミングを外されても、ホームランにする姿は、吉田正尚に被る感じがあります。

左打者であること。

個人的にこれも大きいと思っています。

右打者と左打者がいますが、基本的に野球は左打者絶対優位のスポーツであると思っています。

これは、一塁まで近いことも一つ挙げられますが、それに加えて

体の開きが右バッターに比べて遅れても良い。

ということが挙げられます。右バッターの体の開きが遅れると差し込まれボテボテのセカンドゴロ、ファーストゴロになります。

一方で、左打者なら差し込まれたとしてもボテボテのショートゴロやサードゴロになります。例え、凡打のあたりでもヒットになる確率がある打球が出てくるのです。

実際に吉田もそういったあたりで何本かヒットを打っています。

つまり、失敗が失敗にならないのです。それによって、右打者に比べてボールを見る余裕が生まれるのです。相手投手のボールをギリギリまで見極めることが出来るわけですね。

 

よく見かけるのが相手のボールを見極めてからショートの頭の上を狙う、という打ち方です。

イチローなんかが良くやっていた打ち方ですが、吉田も良くやります。

これが右バッターにはできません。

右バッターがセカンドの頭の上を狙う打撃をすることがありますが、これによって生まれた打球は左打者に比べ弱弱しい物になります。

左打者は流し打ちをしても力強い打球を打てるのに対して、右バッターは相当な熟練者でない限り、流し方向への打球は長打になりにくいのです。

 

吉田のコンタクトにしても、左バッターであることが大きく影響していると思っています。

吉田のバットの振出しは実はかなり遅く、引き付けてから、並はずれたスイングスピードでボールに間に合わせて、そこからコンタクトすることが多いです。

ストレート、カーブ、スライダー、相手のボールが動いてからそのつど対応する。

言ってみれば、後だしジャンケンのような状況が起きているのです。

スイングスピード+体の開きが遅い

この2つが合わさることによって、バットが出てくるのは本当に最後の最後です。

体も中々開かないこともあって、2軍から上がってきたばかりの投手からすれば投げるコースなんてほぼないと言えるでしょう。

吉田とはこんな選手だ

まとめとして、吉田正尚は

ミニチュアバリーボンズ

みたいな選手だと思っています。

 

長打力は及びませんが、打率を残せて、三振も少ない。

バリーボンズという選手の脅威は73本の本塁打も一つですが、抜群のコンタクト能力にありました。

吉田同様に、バットが出てくるのが最後の最後でボール球に手を出さない。

それによって、出塁率は6割越えをマークしています。

 

吉田正尚にこの領域を目指すことは厳しいかもしれませんが、バッターとしての延長線上にボンズがあるような気がしています。

ボンズは73本の本塁打が強いイメージがありますが、個人的には3割5分打って40本のホームランを打つ首位打者、本塁打王量取りが狙えるスタンスが本来の形だと思っています。

吉田には、その領域に行ってほしいですね。

 

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