日本最強バッターは柳田悠希だと思う。
大谷翔平は規格外として、柳田はNPBにおいて最強だと思う。
柳田のすごさはどこにあるのか。
今回は、野球好きのおっさんが少しだけ語ってみよう。
柳田悠希のすごさ
一言で言えば、
足があるスラッガー
であると思う。
今までのスラッガーとは違い、次の塁を狙えるスピードがある。
今現在の柳田は30歳を超えてきたこともあって、走塁に関しては衰えていると思う。
しかし、2015年柳田はすさまじかった。勝負を避ければ盗塁をされ、勝負をすればスタンドにもっていかれる。
相手投手からすれば完全にお手上げである。
ちなみに今はスラッガーとしてクリンナップに座っており、盗塁数は減った。しかし今なおそのスピードは大きな武器である。
外野がもたつけばすぐさま次の塁を狙うその姿勢は、まさしく猛獣である。隙を見せれば、喉元に食らいつかれるのだ。
超人柳田
柳田は人間ではない
とよく言われるがまさしくだ。
あれは、野球技術を身に着けた獣である。
野球とは関係ないサッカーの話だがその昔
イブラヒモビッチが、
獅子は己と人間を比べない
という名言を残した。
まさしく、柳田はその通りの選手だと思う。謙虚なその発言や天然な日ごろの立ち振る舞いはグラウンドに出れば、一瞬で鳴りを潜める。
代わりに出てくるのは、エサに飢えた獣である。
甘いボールが来れば、一瞬で食らいつき打球はスタンドに。そして、外野守備の隙を突き、次の塁へ。
2010年代においてもっとも攻撃力の高い選手は柳田悠希ではないだろうか。そのパワーとスピードを邪魔できるものはだれ一人いなかった。
ライオンや虎がグラウンドに解き放たれたようなものだと思う。
高い身体能力は、不可能を可能にする。人知を超えるパワーはまさしく最強であると言えるだろう。
日米野球において、その本塁打は世界にも届いたと、個人的には思っている。本人はホークスに骨を埋めるとのことだが、別の世界線で、
メジャーリーガー柳田
が見たかった。
柳田悠希のすごさは打撃技術にあると思った。
一見すると無骨で、ごり押しのイメージが強い男だ。
しかし、柳田の技術はプロ野球の中でも頭一つ、二つ抜けている。
柳田の打撃フォームは現プロ野球にいる左バッターの中でも最も綺麗だと思う。
この場合で言う、キレイさは理にかなっているという意味でのきれいさである。
物理的に見て、正当解を出しているというきれいさである。芸術的なきれいさではない。
さて、柳田の打撃フォームだが、いわゆるV字打法と言われている。
一見アッパーに見えるこの打ち方は、コマ送りにしてみてみると原理が分かる。
ボールに接触するまではダウン。そしてボールと接触するときにはレベル、そして最後のフォローでアッパーになる。
というものである。
柳田の打ち終わりはバットをかちあげたようなものになる。
そして、その大きなフォロースルーは多くの人間の目に留まる。それもあって、柳田はアッパースイングに見える。
しかし、本当は最短距離でバットをボールにぶつけ、そこから大きなフォロースルーで打球を運んでいるのだ。
広島で40発打った新井も似たような打ち方だった。
しかし、柳田は左打者ということもあって、体の開きが遅く見える。
それによって、新井よりも精度の高いV字打法が実現しているように見える。
柳田はフォームを崩されても、ホームランにすることが多い。とりわけ多いのは変化球に崩されるも、滞空時間の長い打球がスタンドインすると言うものである。
体の開きが遅いため、最後までボールを見ることが出来る。それに加えて、打球の角度と持っているバネの強さもあり、打球に力が加わるのである。
だから、柵を超えていく。一見すると出鱈目は打ち方もひもを解けば、とてつもない技術が詰まっていることが分かる。
柳田の打撃技術でもっともすさまじい物
個人的に
体が開かない。
ここに尽きると思う。
豪快なフルスイングを見ると大振りをしているように見えるが、柳田はボールをギリギリまで引き付けて、来たボールを正確にはじき返している。
ストレートで差し込まれそうなタイミングになると、ややバットのヘッドを遅らせて、逆方向に高いフライをかちあげる。
柳田の逆方向へのホームランは打ち損じが並はずれた筋力によって無理くりスタンドインした。
という印象を持っている人もいるのかもしれない。
しかし、個人的にアレは技術的にやっていると思う。むしろ技術的な比重の方が大きいと思う。
これを可能にするのは、体を開かない打撃フォームであると思う。それに加えて強靭な背筋も一つだ。
柳田の打ち終わりで分かる角度の付け方。
柳田のフォームがキレイだと思う点について。
打ち終わりで、その美しさが分かる。
柳田の打ち終わりは頭の位置が、くるぶしと一直線になっている。
そして、足から頭にかけて綺麗なアーチが出来ている。反り返っているのだ。
これが打球に角度をつけるのだ。角度がついた打球は長い滞空時間と飛距離をもってスタンドに届く。
柳田を支えている物は何なのか。
こんなものは第三者が語っていいものではない。
が、個人的に推測してみたいと思う。
柳田を支えているモノは
- 大学時代の筋力トレーニング
- 高校時代に身に着けた肉体の基礎
この2つではないだろうか。
普通と言えば、普通だが、個人的にはそうだと思っている。
柳田は高校時代長身の選手だったが、今よりも細かった。かなり細かった。
なんでも、高校時代に死ぬほどしごかれたと言う。
1年時には行軍のようなトレーニングがあり、延々と歩いていたとも聞いた。
その他にも基礎練習の積み重ねの日々で、曰く
「高校時代には戻りたくない」
とのこと、
しかし一見すると非合理なトレーニング。
これが、土台になる。
土台になった筋力はその上に鎧ともいえる強靭な筋肉を作り上げる。
大学時代に柳田は金本などが通っていたジムに通うようになったらしい。そこで、ウエイトを初め肉体が鎧に包まれた。
大学時代は長距離砲として名をはせ、その名がプロの目にかなうようになったのだ。そして運命のドラフト。
ソフトバンクホークスに2位指名される。
王監督「一番飛距離のあるやつは・・・」
野球ファンなら誰もが知っているエピソードだが柳田の指名には鶴の一声があった。
それが、王貞治である。
2位指名に悩んでいた首脳陣。そこで第一候補として挙がっていたのは西武ライオンズで不動のセンターを張った秋山だった。
秋山は稀代のヒットメーカーとして、2015年には日本記録を樹立した。
しかし、王監督は
「一番飛距離のあるやつは誰なんだ」
ということを、首脳陣に告げると、
「柳田です」
と首脳陣は答えた。
これが、柳田悠希がホークスに入ったいきさつであると言う。
その後も王監督は柳田の打ち方を見るや、
「あいつの打撃フォームをいじるな」
とコーチ陣に打診をしたりしたらしい、スラッガーからすると、何かしら感じたものがあったのかもしれない。
しかし、柳田悠希のスイングのすさまじさは、多くのプロ野球選手が目をつけていたりする。2軍時代でもすでにずば抜けていたらしい。
王監督はそれに加えて、柳田の打撃フォームに対し、何かしらの共鳴を感じたのかもしれない。
さきほど、柳田があるのはアマチュア時代の頑張りがあったことも一つだと書いたが、プロに入ってからは王監督に見初められたことも一つあるのかもしれない。
柳田悠希のすごさを見抜いていた人達。
最後に、これについて。
王監督が柳田のすごさを見抜いていたのは書いたが、それ以外にもいた。
井端
名手井端の慧眼には恐れ入る。
10年前にやっていたプロ野球選手100分の1というものがあった。
これは、同業者のプロ野球選手が各部門で優れた選手を選出すると言う企画だった。
今もやっているのかどうかは知らないが、野球ファンなら垂涎モノの規格である。
パワー部門にはトニーブランコ、ウラジミールバレンティンなど屈強な外国人選手が居並ぶ中、井端は2軍の試合で見た柳田に度肝を抜かれたという。
なんでも、三塁手がジャンプして取りに行くようなライナーがそのままフェンスに直撃した
という。
確かに、そのシーンを見れば度肝を抜かれるかもしれない。
しかし、テレビ用に
ホームランバッターはだれですか
という質問で、無名の柳田という男の名前を出すところに、井端という男の粋なところを感じずにいられない。
清原
この男も柳田のすごさを見抜いていた。
こちらは井端よりもより明確に見抜いていた。
昔やっていたTVCMでベストナインを決めると言うものがあった。
その時のセンターに誰を入れるか、という議論で真っ先に名前を挙げたのが柳田だった。
「44番、やなぎだ」
柳田の読みは「やなぎた」である。
名前を間違えるほどに無名な男を清原は評価していた。
バッターグルメ清原和博
清原と言えば、バッターグルメであることで有名だ。
高卒上がりの中田翔には酷評をした、金属打ちであると。あいつは苦労する。と
また松井秀喜も高卒当時は、この先どうなるんだろう、と心配すらしていたらしい。
そして大谷翔平の打撃を見て、
「あいつは打者の方がええ」
と評価したりもしている。この時大谷はプロに入りたて。打者を見る目は本物である。
そんな清原が評価した柳田悠希という男の底知れなさは、やはり本物だったと言えるだろう。
「多分、プロで一番スイング速い」
というのが、清原の一言である。しかし、ちょっと考えた末に
「まだ早いかあ」
として、考え直していた。「まだ早い」つまり、いつかは大物になる、ということをこの男は予見していたのだろう。
まとめ、怪人柳田悠希はどんな選手に?
柳田が引退をすれば、筆者は泣くと思う。
それぐらい、良い選手だ。
しかし、柳田を見るとどこか安心するのは肉体の維持が出来ているところにある。
普通30歳を超えてくると多くのスラッガーはでぶでぶになる。しかし柳田を見てほしい。
未だに引き締まった肉体を維持し、それでもなおパワーは落ちない。むしろ異次元のパワーに打撃技術が上乗せされ、さらに上の段階の上り詰めている。
かの怪物バッターバリーボンズの全盛期は40歳の時である。
金物知憲の全盛期も40歳の時。そう考えれば柳田悠希という男のそこはまだ知れない。
彼はまだ、成長の途上にある。