全てを高いレベルでこなすことが出来る5ツールプレイヤー。
それが山田哲人。
打撃、守備、走塁は各々が宝石のように光る。
山田哲人は最強の2塁手として野球界に君臨する。
セカンドでは堅実な守備と逆シングルからの1塁送球。簡単なアウトは簡単に取り。
難しい打球は熟練の技術と身体能力でつかみ取る。華麗さと堅実さを適宜使い分ける洗練された守備は菊池涼介さえいなければ、セ界史の一ページに残っていたかもしれない。
打撃は言うまでもないだろう。
安定して、30発のホームランを叩きだす。塁上でも野性的センスで、次の塁を陥れる。
スピード、パワー、テクニック。
総合攻撃力において、歴代最強の名をほしいままにする最高傑作である。
セカンド論争は井口やロバートローズ、そして落合博満などが上がっていたが、令和の時代において、最強のセカンドは山田哲人に多くの票が集まるのではないだろうか。
高い身体能力とそれらをカバーする高いレベルで保たれる基礎力。
その姿はまさしく、現代野球の結晶ともいえるだろう。
今回は山田哲人の凄味について書いていこうと思う。
3度のトリプルスリー
山田哲人について語るのであれば、これは外せない。
3度のトリプルスリーは日本球界において山田ただひとりである。
(海外ならば、バリーボンズが達成している。)
バリーボンズの怪物的な記録についてまとめてみる。【チート野郎】
トリプルスリーという数字は、額面で語るよりもはるかに厳しいものがある。
トリプルスリーのすごさ
ホームランバッターの証明である30発の本塁打とスピードスターの勲章である30盗塁。
それに加えて、一流打者の証明である3割を打つ。
ホームランを打ちたいのであれば、体を重くする必要があるが、それではスピードが落ちてしまう。その逆もしかり。
また、ホームランを狙えば、打率は下降してしまうだろう。
トリプルスリーを達成するには肉体を完璧なバランスで整え、なおかつあらゆる投手とキャッチャーの攻めに屈しない技術力が必要である。
パンチ力と機動力、そしてテクニックの共存というのは、一握りの天才が試合に出続けて、なおかつ己を律し続けなければ出来ないことである。
それを3度も達成しているのだから、山田は怪物的な選手である。
投手を安心させる守備力。
上手い守備
というのは、いろいろある。
山田の守備は一言で言えば、
信頼感。
ここに尽きるのではないかと思う。
打球への入り、ぶれることのないスナップスロー、逆シングルからのジャンピングスロー。
幅広い守備のレパートリーから捌くことが出来る、打球の数はもしかすると球界一かもしれない。
洗練された守備はもちろんのこと、肩の強さが軽視されやすいセカンドにおいて、山田哲人は強肩を誇る。
強肩山田哲人
しかし、この強肩はセンターが投げるバックホームや投手が投げる150キロの速球ではなく、
内野的強肩
である。
センター前に抜けそうな打球を逆シングルでとって、振り向きざま一塁。
ボテボテの打球をチャージして、握り替えて一塁へ。
ショートからの転送をいち早く握り替えて、ゲッツーを取りに行く。
そういった、間一髪の時に光る、内野的な肩の強さが山田哲人の魅力である。
絶対に取るべきアウトは、ミスをせず、逆に取ってくれればうれしいんだけど・・・というアウトを軽快にさばく。
そこから生まれる、信頼感はもしかすると忍者と呼ばれる菊池涼介にもないものかもしれない。
日本シリーズ3連発
2015年優勝したヤクルトは最強軍団ソフトバンクに立ち向かった。
結果はソフトバンクに軍配が上がる。
しかし、その中で一人奮戦した選手がいた。
それが、山田哲人だった。
神宮のナイターゲームで行われた試合において、山田哲人は3本の本塁打を放つ。
一本目は左中間へ、2本目も同じところへ。
そして3本目は千賀晃大の投じた、フォークボールを上手く振り抜き、レフトへと放った。
この試合は山田の奮戦もあり、勝利した。
日本シリーズにおいて1試合、3連発というのは長嶋茂雄以来の記録となっており、山田哲人の大舞台の強さは類まれなるものがあると言えるだろう。
対、大舞台での強さ。
山田哲人に関して語るのであれば、大舞台での強さも一つだと思う。
とりわけ、韓国戦にはめっぽう強く。プレミア12、オリンピックではそれぞれ決勝打を放っている。
ここ一番での集中力は、他の選手の比較にならないぐらい高いと言える。
攻撃的一番として、もっとも打順が回る位置に山田哲人が座る。
これは、相手チームからすれば、本当に厄介なことである。
初回の第一球目から、クリンナップに対する配球を組まねばならなく、警戒をしすぎれば、30盗塁できるスピードスターが塁に出ることになる。
かといって、甘く入れば痛打される。
まさしく、核弾頭と言える新時代のリードオフマンである。
安定して試合に出続けること。
そして、山田について語るのであればこれになると思う。
ヤクルトスワローズというけが人が出やすいチーム(なぜかは分からない)はファンからもヤ戦病院と揶揄される。
しかし山田哲人は、試合に出続ける。雨が降っても、風が吹いても、不振に陥っても関係ない。
チームがAクラスだろうが、ぶっちぎりの最下位だろうが関係ない。
毎日打席に立ち続け、また、セカンドの定位置を守り続ける。
これは野球選手というよりも、サラリーマンに近いのかもしれない。
サラリーマンだって、会社の業績が悪くても、毎日定時に出社して、そしてやるべき仕事をすれば家に帰る。
山田の野球に対する姿勢は、まさしく仕事人そのものではないだろうか。派手な成績を残しながらも、地に足をつけて、目の前の仕事を黙々とこなす。
そんな、謙虚ながら献身的な姿勢を多くのファンは見ている。また、チームメイトだってそんな人間がリーダーをやっているのなら、頑張らないわけにはいかないだろう。
結果、2022年ヤクルトスワローズは日本一に輝いた。
それを支えたのは、やはりチームリーダーである山田哲人の存在が大きいのではないかと思う。
まとめ、野球人としても人間としても尊敬できる選手である。
ということで、セカンド最高傑作、山田哲人について書いてみた。
山田の強さは吸収力もあるのではないかと思う。
コーチのアドバイスをかみ砕き、自分の糧にする。
そういった姿が、ドキュメンタリーで放送されていた。
本人が持っている才能だけでは、ここまでのスター選手にはなれなかっただろう。
すごい選手は、運動能力だけでなく、それを補てんする強靭なメンタリティがある。そして、山田の場合は他者の意見を取り入れる強さが一つあったのではないだろうか。
つまるところは柔軟性と吸収力である。
プロ野球選手は我の強さも必要だが、それと同じくらい、プライドを捨てることも大事。
そういった意味においては、山田哲人は高い向上心で泥臭くやってきた選手である。
打撃練習も言われたこと徹底し、守備走塁も同じく徹底した。その結果、球史に残る怪物二塁手が生まれたのだ。
そういった高次元の精神力と類まれなる実績を持つ選手を見て、また次の強力な燕戦士が生まれるのだ。
村上は巨人にはいってほしくないし、メジャーにもいってほしくないけど。
村上はメジャーに行くのか、巨人に行くのかわからないが、それでもヤクルトが地盤を作り上げて、それがきっかけとなっていい選手に育ってくれれば、ファンとしてこれ以上うれしいことはない。
そういった選手がヤクルトから出た、というのが野球ファンとしては嬉しいのだ。
まあ、ということで、ヤクルトの未来は明るい。