日本最強のピッチャーと言えば、山本由伸を上げる人が9割ではないかと思います。
山本由伸のすごさはどこにあるのか?
といえば、やはり完成度でしょう。
ピッチャーの能力で一番求められているのは、試合を作る能力ですが、それに関して、山本由伸はぶっちぎりです。
援護の少なさで敗戦することが多かったですが、それでも、防御率が安定していました。
そして、今年は防御率が示し合わせたように、連勝を重ねました。
結果的に18勝を含む投手5冠を達成。チーム優勝の原動力となったのです。
因みに投手五冠とは、
最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率、最多完封
奪三振能力、試合を作る能力、そして、、、運!圧倒的なまでの剛運。
それらすべてが備わっていないと出来ない、獲得困難な大記録なのです。
近年では、斉藤和巳投手が達成しています。
至上7人目の快挙だそうで、沢村賞は即決で山本由伸に決まった感じです。
しかし、ご存知の通り、山本由伸は今年一年だけの選手ではありません。
キャリア通しての、通算防御率は驚異の
2.05
参考サイト
防御率2点前半の凄味
9回投げ抜いて、2点しかとられないピッチャーです。
ピッチャーが試合を作れたか否かの基準がQC(クオリティスタート)と呼ばれるものですが、これは
6回までに3失点以内に抑えることが出来た場合に、発生する権利。
さらに、HQCという指標があり、これは
7回までに、2失点以内に抑えることが出来た場合に発生する権利
山本由伸の通算防御率、2.05というのはHQCの基準を大きく上回るわけですから、そりゃすごいピッチャーだと言えます。
山本由伸を支える球種はなにか?
ストレート
Max157キロを誇るストレート。
アベレージもすさまじく、150キロ前半を常時投げ込んできます。
うなる様に直進するストレートは、追い込んだときに真価を発揮します。
アウトコースいっぱいに決まる真っ直ぐは分かっていても手が出ないキレを誇ります。
カットボール気味のスライダー
カットにしては変化量は大きいです。しかしボールのスピードは140キロ前半でている不思議なボール。
しかし、変化としては縦に若干落ちているので、あえて称すのであれば
縦の高速スライダー
でしょうか。
カウント球としても使えますが、こちらも勝負球として機能します。
アウトコースギリギリから、ボールゾーンに消えるように落ちる。
精度が高いボールで抜けることもあまりないです。
ツーシーム
スライダーと対になるツーシームは150キロに迫る、140キロ後半のスピードが出ます。
対左、対右両方に使えるボールで左打者に対しては外に逃げていくような軌道で、空振りを誘うことが出来、右打者に対しては抉るような軌道で、凡打を誘発できます。
使いどころの多いボールです。
高速フォーク
スプリットにしては、変化が大きいフォークボールを投げます。
スピードは150キロに迫ります。
軌道としては、千賀投手のような大きなものではありません。
斉藤和巳が投じていた、ストレートと誤認させて空振りを取るようなボールです。
実際に、山本のベース手前で落ちるフォークにバットを空に切らせた選手は多数います。
剛腕と称される押さえピッチャーが投じるフォークボールですね。
斉藤和巳のフォークに似ていると書きましたが、個人的にはデニスサファテのフォークにも近い物を感じます。
どれをとっても一級品。
山本由伸を支える球種は縦の高速スライダー、ツーシーム、高速フォーク。
石井一久(現楽天監督)は、
プロの世界は、2球種を極めればエースになれる
というコメントを残していました。
その基準で言えば、山本由伸は決め球が4つ、5つあるスーパーピッチャーであることが分かります。
しかし今年はより進化して、次のボールがありました。
今年の山本はともかくカーブが切れていた。
例年までの変化球は打者を抑えるうえで大きな武器になっていました。
それに加えて、18勝を挙げた今季は、割れるように落ちるカーブボールを習得し、これが防御率1.39を作り出した要因ではないかと思っています。
このカーブボールは例年までにあったスピードボールとは対照的な緩いボールです。
これによって、前後の揺さぶりが使えるようになり、投球に幅が生まれました。
使い方としては、打者の壁を壊すことが一番ですが、山本由伸のスピードボールならばそういった類のボールは本当に強烈な威力を持ちます。
それは、投手五冠を取ったときの斉藤和巳を見ればわかると思います。
2005年の斎藤もカーブボールが本当に切れていましたからね。
今年はカーブにMVPをあげたい
このカーブボールは今年以前のシーズンも使っていたと思われるのですが、今年はより精度が上がった印象です。何しろ、低めに決まり、とりわけアウトローに決まります。
縦に割れるボールなので、柳田、浅村と言った左の強打者、右の強打者に心置きなく使えるのも強みでしょうか。
山本由伸を一言で表すならば。
では、そんな山本由伸を一言で表すのであれば、どういったものがふさわしいのか。
僕は
守護神が先発する
というイメージでした。
今年の山本由伸の防御率は1.39です。
これは、押さえピッチャーでもなかなか出せる数字ではありません。
参考にキングオブクローザーと呼ばれたD・サファテの通算防御率は
1.57
となっています。
踏まえて、今年の山本由伸はサファテの通算防御率よりも低いです。
これは、並みの抑え投手の防御率を軽く凌駕している数字であり、
本来点を取るのは困難とされる、押さえピッチャーが先発に上がっているようなものだ。
といっても過言ではないです。
山本のすごさはパターンの多さ
参考動画
山本の強みは、パターンの多さにもあります。
山本由伸は1回から9回までの同じクオリティで投げ切れる再現性もあります。
9回でも、150キロのスピードボールを投げつつ、切れの良い変化球も低めにコントロールされているのです。
くわえて、球種が多彩故に組み立ては無限大です。
これは1回1回別の投手が勝負しているようなものです。
1回は技巧派ピッチャーがマウンドに上がったかと思えば、2回には本格派、3回には両方の強みを活かしたピッチングをされる。
そうやって、山本由伸が持つ、あらゆる強みをぶつけられるのは、言うなれば、一回ごとに色々なタイプの守護神が交代交代しながら投げるようなものに近いものがあるのではないでしょうか。
山本由伸はメジャーに行っても活躍できるのか?
怪物的な記録を残した山本ですが、メジャーに行っても活躍できるのでしょうか。
参考までにダルビッシュ有は
余裕で通用する
と語ります。
まあ、現役メジャーリーガーが言うんだから、そうなんだろう
というのが第一ですが、実際に考えたらどうなるのでしょうか。具体的な数字を考えていきたいと思います。
山本由伸の具体的な成績
14勝7敗ぐらいではないだろうか。
と僕は思っています。
山本由伸の起用法ですが、やはり先発ではないかと思います。
そして、メジャーリーグで投手の防御率は球場に左右されることも大いにあるのですが、それを踏まえても活躍しそうです。
メジャーリーグで活躍するか否かの指標はなにかと言えば、
- 三振を取れることと、
- 自己管理能力の高さ
この2つが絶対条件です。
三振を取れること
メジャーリーグで活躍するには、
のらりくらり行く
では厳しいです。
柔よく剛を制す
ではなく、
剛よく柔を断ち切る
これがメジャーリーグです。
そのせいで、今のメジャーはホームランか三振かの面白くないゲームが多い。
というのは、松井秀喜氏のコメントですが、まあ、勝負の世界なのですから勝率を求めるのは仕方ありません。
踏まえて、パワフルなスイングを上回る変化球の切れと、その変化球を上回る強烈な真っ直ぐがないとメジャーで活躍は厳しいです。
しかし、山本にはその2つが備わっていると思います。
山本のフォークは超一級品で、ストレートと誤認する球威と空振りを取るキレがありますし、真っ直ぐもダルビッシュクラスとは言わないまでも、それと、そん色のない威力があります。
また、スライダーとツーシームの精度も合格点ですし、メジャーで9勝を挙げた投手大谷と比べても完成度は上ではないかと思います。
自己管理能力
これに関しても、かなり高いのではないかと思ったりします。
あまりプライベートは知りませんが、毎年何かしらの成長を遂げてマウンドに上がり続ける姿勢はかつてのイチロー、ダルビッシュに近い物を感じます。
結果を出すためならば、プライベートをある程度犠牲にできる選手だと思われます。
メジャーでもやっていけるのではないでしょうか。
踏まえての14勝7敗
日本で無双したダルビッシュが翌年のメジャーで16勝を挙げているので、山本由伸も波に乗ればそれぐらいは勝てそうな気がします。
防御率に関しては、メジャーに行けばプラス1されます。
メジャーは下位打線でも本塁打を狙えるバッターがうじゃうじゃいるので、日本では外野フライだった打球も本塁打になります。
従って、防御率は大分上がるのです。
指物の山本でも恐らく
2点台~3点台になるかと思います。
しかし、向こうでも、その数字を残せば文句なしにエースピッチャーです。
久しぶりに表れた、大エース
ダルビッシュ、田中マー君クラスの大エースだと思います。
それぐらいのポテンシャルがありますが、山本由伸のすさまじいところは、やはり勝負球の多さですね。
ダルビッシュは球種が多彩ですが、その中でもスライダーが勝負球でした。日本でもここ一番では外スラで空振りをとっていたのです。
また、マー君はスプリットがすさまじく、24勝したときもこのボールが無双していました。
その二人に比べると、山本由伸は勝負球が多いと思っています。
ごまかしに使う球種がなく、そのすべてが三振を奪う力を持っているのです。
勝負球をカウント球に使われるとなれば、多くの打者は早めに打ちに行くことでしょう。
しかし、山本は打者を打ち取るすべもあり、手元で小さく変化するツーシームはメジャーリーガーでも手を焼くのではないかと思います。
そうして、今度は良いボールを待っていても、150キロの迫るフォークボールに空振りを奪われる。
まさに、投手をするために生まれてきたような選手です。そんな山本由伸がメジャー挑戦するのは、25歳ルールもあり、2023になると思います。
そうなったときに、どれぐらいの結果を残すのか?
個人的にはすごく楽しみですね。