大谷翔平のすごさは、なんと言っても強い所だと言います。
スピリチュアルなすごさではありません。精神が強いとかそう言うところではない。
勿論、その部分についても、他の追随を許さない部分はある。
でも、
大谷ってアスリートとしてひたすら強い。物理的に強い。
スポーツっていうのは至極当然の話、デカい奴が強いです。どれだけテクニックがあっても、ついてるエンジンが違うとぶっちぎられて周回遅れになる。
ドライバーがアイルトンセナでも、マシンが軽トラなら一山いくらのレーサーにもぼろ負けです。
で、接触の多いサッカーやバスケならばそれはより顕著です。野球はどちらかと言えば、チビでも活躍できるスポーツですし、それが面白さの一端を担います。
しかし、ピッチャーとバッターが直接対決する野球はどうしても
体がデカい奴が有利、
という場面が出来てしまう。
で、それ自体残酷だけども、勝利を追求したプロの世界です。仕方ありません。
速ければ速いほど、それと対になる変化球は決まりますし、力が強ければそれに付随して流し打ちや、センター返しなどの技術には破壊力が付与されます。
端的に言って
デカい奴にテクが加われば、勝ち目なんてありませんよ。
だから、熱心な親御さんは子供が小さい時から英才教育を施してデカくするのです。
最近の中学生なんて、プロ野球選手並みのケツのデカさしてますから、驚きです。
話が大分逸れました。
大谷選手。あれだけデカい体であれほど効率の良い動きをすれば、そりゃ天才が集まるMLBでも、いい結果は出るだろうと思ったりします。
そんな大谷選手のすごさ10選について今回はご紹介したいと思います。
1.メジャーでホームラン王を取りかけた。
個人的にこれが一番すごいことだと思っています。
元来、磨き上げられた技と卓越した戦術で戦う日本人。
WBCやプレミア12、オリンピックなどの短期決戦ならば、それで勝つことはできたかもしれません。
が、100数試合あるリーグ戦となると、試合数を重ねるごとに海外の選手との差はどんどん広げられてしまいます。
どれだけいいスタートを切っても馬力が違えば、中盤、終盤では抜かれてしまいますよね。僕たち日本人が知らない内に3Aとか2A送りになる選手はたくさんいます。
勿論すごい人はいる。
活躍できる選手はいて、松井選手なんかは大谷以前のスラッガーでしたね。
この人も相当すごかったです。名門ヤンキースで4番を務めました。
2009年はロビンソン・カノ、Aロッド、デレクジータ、テシャイラなど、どれをとってもスターでした。
そんな中で、松井はレギュラーで2割8分、28本の成績を残していました。しかも4番、5番に座ってです。ワールドシリーズでもMVPで、あのペドロマルティネス投手からホームランだって打っています。
そんなこともあって、いまだにヤンキースファンからは記憶に残る日本人であると言われています。
でも、あの怪物松井でも、最高、31本の中距離ヒッター兼クラッチヒッターです。(十分すげえけども・・)
一方で、大谷は向こうでもスラッガーとして扱われています。
勿論、松井だって向こうでは愛されており、すごい選手でした。
でも、大谷は前半戦終了時点で松井の持つ31本の記録を抜いていたのです。
メジャーのパワーボール&手元で動くツーシーム、カッター、前後の揺さぶりとして沈むチェンジアップ。
けた外れの速球と揺さぶりがあるメジャーの投手から46本打つのは、どう考えても化けもんです。
そして、これはさんざん言われているのですが、大谷はピッチャーですよ。その昔、
メジャーでホームラン王を取れるキャッチャーは、未来永劫出てこない
とささやかれていましたが、キャッチャーどころか、ピッチャーがその領域に足を踏み入れている。
これは本当にすごいことです。
2.足が速い
次にこれなのですが、大谷って足が相当早いです。
どれぐらい速いのかと言えば、一塁到達タイムがメジャーで一番早いのです。
メジャーリーグは身体能力お化けが溢れかえっている魔境です。
あまり人種的な区別は良くないです。
が、黒人選手の動きを見れば
我々東洋人なんて歯が立たないな・・・
と思わされるものです。
隙あらば自分語り
筆者は昨年、仕事の都合でロッテの試合を見に行ったのですが、SSを守っていたエチェバリア選手の身のこなしを見て、
忍者の発祥は日本ではなく、ベネズエラやキューバなんじゃないかなと思いました。
一連の動きやしなやかさはまさしく、忍者を想起させます。
手首のしなりだけで投げた送球が一塁まで届くのを見て、手裏剣を投げているように見えました。
日本人の堅く失敗が出ないことを追求した動きとはまた違う高みにいると思ったもんです。
当然、どちらもすごいですが、日本人の動きは年月さえかければ一山いくらの選手でも出来ると、考えられます。
だから日本人のショートストップってどの球団もかなりレベル高いんです。少なくとも、簡単なミスはあんまりしません。
しかし、海外の一流内野手の身のこなしから生まれる、ヒットになる打球をアウトにしてしまう。ああいったエキサイティングなプレーをこなすのは誰にだってできることじゃない。
そこには、生まれながらにしての壁があると実感しましたね。
速くてデカいが大谷の本質。
話はそれましたが、メジャーではそんなエチェバリアみたいな身体能力お化けがいる中で、大谷選手のスピードは彼らの上を行くというのです。
盗塁数も、スラッガーとしては破格の24個を記録しており、またヒットの内容としては内野安打やセーフティバントもあります。
大谷選手はハードパンチャーなだけではなく、技術的に放つヒットも多いのです。そのヒットの根源としては大谷選手のスピードが挙げられるのです。
速くてデカい奴は本当に稀です。
3.ホームランの内容。
大谷選手は46本ものホームランを1シーズンで放ちました。
まさしくホームランバッターだと言えます。
しかし、ホームランバッターと一言で言っても、いろんなタイプがいるモノです。
力を前面に出して弾くように飛ばすハードパンチャータイプ。ピッチャーが投げたスピードボールを力に転換する職人タイプ。
また、その両方を併せ持っているアーチストタイプ。その他にもヒットの延長線上がホームランになると言う、謙虚タイプ。
本当にいろいろ居ます。
大谷選手は、どうなのかと言えば、
ハードパンチャーとヒットの延長線上がホームランになるタイプが合わさっているのかなと思ったりします。
スラッガーとしての大谷のタイプ
大谷選手のホームランは大きく分けて2タイプあります。
一つは狙うべくして打った、完璧なホームラン。打球速度は170~180キロに上ります。
もう一つは、タイミングをずらされ体が崩されるもなぜかホームランになる変態ムラン。
2021年の大谷選手はこの2つがメインとなってホームラン数を伸ばしていったと思われます。
ホームラン量産体制の大谷は史上最強クラスのスラッガー
しかし、「入っている時の大谷選手」はまさしく
最強のハードパンチャーとして、打席に君臨していたと思います。
相手が投じたボールはギリギリの所まで引き付けて、バチンと打つ。
かつて巨人軍で50ホーマーを記録した松井秀喜と酷似しています。(その至高の打撃を世界最高レベルの投手からやっているのです)
その打球はアーチストが放つふわりとしたホームランとは全く異質です。
ロケットのように空気を切り裂き、それがそのままスタンドに突き刺さる。
きっと、メジャーの手元で動くボールに対しては、こういったパワーで上を行くのが最強の対策なのでしょう。
打ち損じても、ゴロとなれば内野手の捕球率は下がります。160キロ越えで地を縫うように来る打球ですから、捕球は困難です。
また、大谷選手のテクニックならば手元で入射角を変え引っ張り→センター返しにシフトチェンジも可能です。
そういったこともあって、大谷選手はこれほどの記録を残せたのだと言えます。ホームランの内容を見ても、流し方向に打ったものは減り、引っ張り方向に放ったものが増えています。
これは、本当の意味で大谷選手がスラッガーとして覚醒したのが分かる証拠かなと考察できます。
4.投手としてはセーブして技で抑え込む場面も
打者として語りましたが、投手としてもすごいです。
打撃においてはパワーで圧倒するシーンが見られた大谷選手ですが、ピッチングを見れば技に磨きがかかったシーズンだと思いました。
これ以前のシーズンでは100マイルの速球を軸に無理くり試合を作っていた印象です。
しかし、今季から98マイル付近のボールが減り、94~96マイル(154キロ付近)のボールでストライクを取り、その後スプリットやスライダーで三振を取るシーンが増えたと思います。
大谷選手の代名詞と言えば、世間一般で言えば、
スピードボールです。
160キロを当たり前に投げるピッチャー。
そりゃマスコミはそっちを取り上げるでしょうね。
が、筆者は大谷選手の最大の武器は器用な指先と柔軟性ある筋肉から生まれる引き出しの多さにあると思っています。
スライダーはキレており、フロントドアとして決まるシーンが多く見られました。
フロントドアとは打者めがけて投じられたボールがスライスし、ストライクになるボールです。デッドボールコースからストライクになります。
スピードボールを投げる投手がこれを投げると有効とされており、バッターはデッドボールの恐怖があるのでのけ反ってしまいます。
決め球からカウント球としても使われる、本格派投手のメインウェポンの一つです。
以前から活用していたテクニックですが、大谷選手はこれを積極的に使っていると感じられました。
そして、スピリットは説明不要でしょう。
あっちでは
悪魔的
とも呼ばれるスピリットは体で分かっていても、反応してしまうようです。
ワンバウンドのボールを振りに行く強打者がどれほどいたかわかりません。
大谷選手は本格派投手ではなく、本格派投手の皮を被った、超技巧派投手ともいえるのです。
同じタイプとしてダルビッシュ投手がいます。今現在大谷選手はダルビッシュ投手のような遊び心はありません。
球種も多くないし、深みも彼には及ばないでしょう。
しかし、実用性を徹底的に重視したスライダー、カーブ、スプリットの三種の変化球は多くの打者に土を舐めさせてきました。
踏まえて、来期は、ロマンではなく目に見える実績がついてくるシーズンになると思っています。
5.最後に。異常ともいえる、アスリート適性
筆者はスポーツ選手を商品として考えています。
誤解を生みそうですが、そう考えています。
踏まえて、嫌いなものは
精神的な強さとか、人間性などの話です。
スポーツ選手の談話をする中で
「あの選手は人間性がすごくいい」
「あの選手はファン対応がすごくいいから、応援したくなるんだよな」
そういった話が少なからずされています。
しかし、僕としては、バリーボンズが薬を使ったなんて、どうでもいいし、江川卓の過去にいざこざがあったことも知った事かと思っています。正直、ロッテの清田選手も引退までするのはいかがなるものか、と思ったりしました。
(まあ、人気商売なので仕方ないですが、)
炎上覚悟で言えば、
アスリートは、年棒に見合った成績を残し、ただ球場に来たお客さんを沸かせ、監督の期待に応えればそれでいいのだ。
と思っていたりします。
そんな筆者でも、大谷選手の内面。つまるところ、アスリート適性は他の追随を許さないと感じました。
ゴシップがないのは異常だ。
スポーツ選手につきものなのが、女性関係のいざこざだと思います。
英雄色を好む。
ダルビッシュだって、野村監督だって、イチローだって、その昔は週刊誌の餌食になったものです。
しかし、大谷選手はまるで機械です。
野球をするマシンです。
昔出た記事においては
クリスマスイヴにも室内練習場で、打撃練習をしていた
と言います。
ここまで来ると、野球が恋人ですよ。
Aロッドも大谷にいた異常性があった
同じようなエピソードを持った偉人がいて、それがAロッドです。
Aロッドは通算で600本を超える本塁打を放ち、シーズンにおいて3割、50本、20盗塁を記録した稀代の大選手です。
彼は彼女とのデート中、野球のビデオを繰り返し見ており、彼女はそっちのけになっていたという話があります。
やはり、その分野を極める人間はネジが抜けているというか、自分の世界を持っているのかもしれません。
こういった人を野球バカと一言で済ませてしまうのは簡単ですが、彼らが残した実績や球場で見せるプレーは多くの人間に夢を与えるのです。
まとめ、大谷はーーーー
野球の申し子
だと思います。
打つ、守る、投げる、そして走る。
そのすべての世界で頂点を極める位置にいます。
守備に関しては、ほとんど守っていません。
しかし、日本のルーキー時代に見せたゴロへの入り方、クッションボールの処理、捕ってからの返球スピード。そして、刺殺の精度。
どれをとっても、一級品でした。いま、野球哲学を蓄えた大谷選手が守備をしたとしたら、一流外野手とそん色のない物になると考えます。
ポジショニングと背走が多いセンター経験値が必須です。なので、1,2年で極めることは厳しいです。
しかし、クッションボールが多く、強い送球が求められるライトにおいては身体能力でのごまかしがある程度利きます。
だから、ライトを守らせれば、高いレベルでこなしてしまえそうな気もします。
そして、打撃、走塁、投球は言わずもがな。
まさしくダイヤモンドです。それも、既存の測り方では何カラットかも分からないほどの巨大なダイヤモンド。
そんな、特大の宝石が日本という島国から出たですから、これは本当にうれしいことだと思います。