未来・第308号


            未来第308号目次(2020年12月17日発行)

 1面  大飯3、4号機許可取消判決 もう原発はいらない
     老朽原発うごかすな!
     リレーデモ 関電美浜原子力本部を包囲

     大阪地裁 設置許可取り消し判決
     規制委許可は「違法な審査」
     12月4日

 2面  ルポ住民投票
     維新の解体・一掃へ
     奇跡を生んだ市民の闘い(下)

     介護労働の現場よりC
     都構想と闘った10月
     唐住日出男

 3面  菅政権の政治反動ー伊藤公男講演会
     社会運動の多様性と調整力      

     日本学術会議闘争
     6日 神戸
     内田樹(神戸女学院大名誉教授)らが発言     

 4面  革共同再建協議会党員総会の開催と、
     新たな執行機関選出の報告

     連載
     「命をみつめて見えてきたもの」を終えるご挨拶

 5面  砂丘上の柏崎・刈羽原発
     東電の原発再稼働を認めない
     津田道夫

     医療観察法を廃止しよう
     越智翔太さんが報告
     12月6日

     短信

 6面  天皇制下で強制移転
     奈良・洞村フィールドワーク

     シネマ案内
     『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』
     (監督 アグニシェカ・ホラント ポーランド映画)

     冬期特別カンパのお願い

       

大飯3、4号機許可取消判決 もう原発はいらない
老朽原発うごかすな!
リレーデモ 関電美浜原子力本部を包囲

美浜町役場を包囲したデモ隊(12月9日、詳報次号)

11月23日関電本店前を出発した「老朽原発うごかすな! 関電本店〜美浜町役場・関電原子力事業本部200キロリレーデモ」は、大阪〜吹田〜茨木〜高槻〜島本町〜長岡京市〜向日市〜京都市〜大津市〜大津市・堅田〜大津市・志賀〜高島市〜高島市・今津とつなぎ、12月6日福井県に入った。

大阪市内で大集会

9月6日、「老朽原発うごかすな! 大集会in おおさか」は、コロナ禍でもあらたな反原発運動の陣形を発展させるためにお互いの立場を尊重し、共有することを確認し、開催された。うつぼ公園に集まった1600人、それと連帯する行動が各地で展開された。
9月下旬の実行委員会では、この陣形を今後も維持することが確認され、名称を「老朽原発うごかすな! 実行委員会」と変更し、関電本店〜美浜町役場・原子力事業本部のリレーデモをおこなうことを決めた。
リレーデモが通過する地域での各地実行委員会の結成、沿線市町村への申し入れ、実際のリレーデモのコース作りやデモ申請など、連日フル展開の毎日であった。
また、地元同意に向けた動きも激しくなってきた。地元同意に向けて、資源エネルギー庁は積極的に動き、関電は、高浜町や美浜町では、各戸ローラーをおこない、原発推進派は、再稼働推進の請願をおこなった。美浜町、高浜町の「地元同意」に向けての動きは風雲急を告げ、そのつど緊急行動を配置し、たたかってきた。

リレーデモスタート

新大阪から吹田、茨木へ進むデモ隊(11月24日)

「11・23リレーデモ出発、関電包囲大集会」は、550人が集まり、集会後、大阪駅前の繁華街・梅田に向かった。集会では、各地の実行委員会からそれぞれ、地元同意を許さない思い、老朽原発の20年延長運転を許さない思いが訴えられた。
11月24日、25日の新大阪〜吹田〜高槻〜島本町は、北摂実行委員会が準備した。北摂実行委員会は北摂地域10市町の首長、議会に対して、老朽原発の20年延長に反対の意思表明を申し入れてきた。
11月25日には、高浜町議会が老朽原発高浜1号、2号の再稼働に同意することを賛成多数で強行した。
11月27日、JR長岡京駅前から、関電京都支店に向けて出発。出発集会で、木原壯林さんが、25日の高浜町議会が同意したことにふれ、「老朽原発」という表現は、われわれの言葉であるが、その言葉が新聞の一面トップを飾っている。われわれの運動の前進を示すものだ。高浜町議会ではこれまで、原発に反対する議員は1人だけであったが、今回の老朽原発再稼働の同意については複数の議員が反対し、われわれの運動の前進を示していると提起、元気にデモに出発した。
11月29日、京都市役所を出発、いよいよ大津市に入る。この日は、130人が参加し、関電滋賀支社を経て、びわこ湖畔までデモ。
以降、湖西(びわ湖の西側沿岸地域)を進む。大津市堅田からは旧国道161号線をひたすら北上。JR志賀駅からは、集落のなかをデモ、びわ湖を一望しながら北上。家の前に出てきての激励に疲れも吹っ飛ぶ。
12月5日、JR近江高島駅をスタート。前日の大阪地裁での、大飯原発3・4号機設置許可取り消し判決にいっそう意気が上がる。福島県からわざわざKさんも参加。地元の人も多数参加。JR近江今津駅をめざす。

福井県に入る

12月6日、いよいよ福井県に入った。出発点は「道の駅若狭熊川宿」。この日は福井県の人々が多数参加。出発前集会では、美浜町、おおい町の議員も発言。それぞれ、4日の大阪地裁判決に触れた。昔の「さば街道」の趣を残す熊川エリアを元気にデモ。この日の目的地JR三方駅をめざす。
湖西の町並みを進リレーデモ(11月30日)
昨年は高浜原発(福井県高浜町)から関電本店(大阪市)までのリレーデモをおこなったが、今回のリレーデモでは、参加者が30%近く増加しており、老朽原発うごかすな! という思いが強く感じられる。また、沿道や家の前まで出てきて激励する人、車で行きかう人の声援も非常に多い。こういう声をさらに大きくしていこう。老朽原発うごかすな!の声をさらに上げていこう。(12月7日、記)

大阪地裁 設置許可取り消し判決
規制委許可は「違法な審査」
12月4日

12月4日、関西電力大飯原発3・4号機に対する「運転停止命令義務づけ請求訴訟」の判決があり、大阪地裁(森鍵一裁判長)は大飯原発3・4号機に対する設置許可を取り消した。この裁判は2012年6月、国を相手に関電へ運転停止を求めるよう訴えたもので、原告は関西や福井県に住む134人の住民。

審査すべきをしていないから違法

判決では、「関西電力は大飯3・4号機の設置変更許可申請において、耐震性判断に必要な地震を想定する際、地震調査結果等に基づき設定した震源断層面積を経験式にあてはめ計算した平均値としての地震規模をそのまま用いた。新規制基準は、経験式による想定を超える規模の地震が発生しうることを考慮しなければならないとしていたから、新規制基準に基づき基準となる地震動を想定する際には、少なくとも経験式による想定を上乗せする要否を検討する必要があった。原子力規制委員会は、そのような要否自体を検討することなく、上記申請を許可した。原子力規制委員会の調査審議及び判断は、審査すべき点を審査していないので違法である」と断じた。
原子力規制委員会が策定した『地震動審査ガイド』では「経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、経験式が有するばらつきも考慮されている必要がある」と規定している。ところが、実際は、この「ばらつき」は一貫して無視されてきた。たとえば、大飯3・4号機の場合、「ばらつき」を考慮すれば地震が襲った場合の最大加速度は(国が主張する)856ガルではなく、1150ガルとなる。
経験式(平均値としての地震規模)のとおり地震がおこるものではないことを裁判所は認定したのだ。

全原発の審査が無効

原告団は、「国は控訴を断念して設置許可を取り消し、すべての原発等について耐震性(2面に続く)の見直しをおこなえ」と訴えている。
今回の判決は大飯原発にとどまらず、原子力規制委員会が運転を許可した(現在稼働していない原発も含め)国内すべての原発にあてはまる内容である。
したがって、来春にも再稼働をもくろむ老朽原発(美浜3号、高浜1号、2号)にもあてはまる。いままでの原子力規制委員会の運転許可がすべて「違法な審査」であったことが今回の判決で明示された。
国が控訴すれば、舞台は大阪高裁に移る。判決が確定しない限り運転停止の効力はないが、新規制基準のもとで初の「設置許可取り消し判決」が出たことの意義は大きい。現在、原発の運転停止を求める裁判は全国で約30件が争われているが、それへの影響も無視できない。

老朽原発うごかすな

関電は「到底承服できない」と談話を発表したが、さらに原発全廃の声を強め、再稼働などできない状態に関電を追い込んでいこう。このような違法な審査でOKが出た老朽原発を再稼働させるなどもってのほかである。

2面

維新の解体・一掃へ
ルポ 住民投票 奇跡を生んだ市民の闘い(下)
剛田 力

3度目の挑戦叫ぶ維新

住民投票の結果を踏みにじって、維新はなおも大阪市の財源、権限を奪い取ろうとあがいている。
「大阪都構想を応援して頂いた皆様に感謝です。残念ながら否決されました。しかし、大阪の成長発展こそが日本の成長に繋がるそんな大阪にしなくてはなりません。その為にはどう考えても大阪都構想しかありません。必ず3度目の挑戦をする時が来ます。その日に向けて今日からまた頑張りましょう」(東徹)。
松井は11月5日、「府・市の広域行政の一元化に関する条例」策定を目指す考えを示した。大阪市を残して区長の権限を強化する「総合区制度」の検討にも言及した。「府・市一体、広域行政一元化の条例を作ればよいと思っている。都構想の代案だ」として、関連の条例案を2021年2月の市議会に提出する方針も示した。
松井は「府市一体の成長戦略、バーチャル大阪都はこれからも続ける。副首都を目指すということで設置した副首都推進局も存続させる。都構想の制度案を作っている部門は否決になったので縮小する。府市一体の副首都戦略は今後も続くのでその機能を担ってもらう」としている。
大阪市の広域行政の権限と財源を奪い取るのに、今度は議会の決議だけでやろうという、悪辣な手段を追求している。

「都構想のまやかしを切る」集会のあと、デモをおこなう市民(9月21日)

松井、吉村の責任を追及し維新解体へ

大阪の「失われた10年」の責任を取らさなければならない。特に、コロナに関連する倒産や失業があいついでいる現実、保健所の職員数が、コロナ前の定数にすら達していないという大問題など、「都構想」で多大な役所のリソース(資源)を使った責任をどうとるのか、明らかにさせることは絶対に必要だ。
大阪府と大阪市は、この10年間、大阪市廃止を実現するべく、政策資源を集中してきた。人員・資金・権限・時間の大きく4つ。大阪府知事と大阪市長の両ポストを得た維新は、それらの政策資源を大阪市廃止に集中してきた。大阪市廃止を推進する合同組織(大阪府副首都推進局・大阪市副首都推進局)を設け、府市の職員を集めた。また、大阪市廃止に向けた一環として、大阪市営地下鉄の民営化や公立病院の統廃合などを進めてきた。逆に、他の行政分野での政策資源を減らしてきた。市民局、福祉局、健康局、こども青少年局、環境局、都市整備局、教育委員会事務局、区役所など、市民生活と密接に関係する組織、部局に配属される職員や配分される財政、検討されるべき条例、課題について議論する会議の時間が、大阪市廃止のために割かれてきた。
地域政党「大阪維新の会」は2010年に結党して以降、党最大の公約に掲げた「大阪都構想」の実現を目指してきた。制度設計を担う大阪府と大阪市の共同部署「大都市局」が設置された13年4月以降、都構想関連の事務には少なくとも100億円を超える府市の公金がつぎ込まれ、多くの職員も投入された。
都構想の法的根拠となる大都市地域特別区設置法(大都市法)が12年9月に施行され、13年4月には約100人の職員を集めて大都市局が発足した。橋下は15年5月の住民投票にこぎつけたが、反対70万5585票、賛成69万4844票の1万票差で否決され、政界引退に追い込まれた。大都市局も6月に廃止された。
しかし5カ月後、「都構想への再挑戦」を掲げた知事・市長のダブル選で勝利。16年4月に再び府市にまたがる「副首都推進局」が設置され、最大約100人の職員が毎年投入された。大都市局と副首都推進局の総人件費は計約68億円に上る。
大都市局が設置された13年以降、首長選は14年の出直し市長選を含めて3回実施され、計約18億円が費やされた。
また住民投票関連の経費を巡っては、5年前が約8億1000万円。今回は住民説明会が8回のみで39回実施された前回より大幅に減ったが、新型コロナウイルス対策などで経費がかさみ約10億7000万円が予算計上されている。
吉村や松井が知事や市長の椅子に座り続けることなど、到底許されない。
国政政党の維新にとってもダメージは深刻だ。「大阪都構想の実現は党勢拡大のカギ」と位置づけられていた。2015年の住民投票で否決された際には、橋下政界引退を余儀なくされた。その結果、2017年衆院選では2014年衆院選で獲得した41議席を大きく減らし、11議席まで落ち込んだ。その後は党勢が回復し、次期衆院選では「30議席以上の獲得が確実」との分析もあった。ただこれは、「大阪都構想の可決が前提」だった。「今回の都構想否決と松井の引退表明は選挙戦どころか、「顔と看板を失った維新」といわれている。
維新の解体に向かって追撃していこう。

介護労働の現場よりC
都構想と闘った10月
唐住 日出男

(一) 大阪市民は再び都構想を反対多数で阻止した。だが正直、これでいいのかという思いが私の中にある。
(二)9月なかば、介護現場で、ある重症者のおつれあいが言った。「私、こんどは(都構想が)通ると思います。くやしいけど」。
たしかに、今回の都構想、5年前以上の勢いがあった。漠然と有無を言わさない重い空気がのしかかってくる。
(三) 9月末、私は2枚のバナー(横断幕)を描いた。文言は『大阪市廃止 都構想反対!』。横3メートル。それを自分が普段使っているバン型トラックに貼り付けた。近所の人たちがうれしそうに笑う。「ニイちゃん、今度も反対か」「大きいな」。熱心な創価学会員さん達である。
(四) コロナウイルス対策で、介護現場は『都構想反対』トラックで行く。
大阪市当局から『都構想議定書』とその解説パンフが送りつけられてきた。テレビ、新聞が「都構想賛成優位」と報道。都構想が日ごとに巨大に姿を現しつつある。
(五) 都構想住民投票告示。その日から、私は時間をつくっては、大阪市東部を『反対』トラックで走った。反対派の街頭宣伝にも合流。とにかく、あがいた。
介護相手の脳性マヒ者が言った、「今度は、俺、賛成投票する」。無言の私。彼、「だって、前回、反対言ってた人たち、何もやってこなかった。世の中、悪くなる一方や」。私、彼の車イスを押して、期日前投票会場へ出かけた。
(六) いったい、都構想とは何。大阪維新の会は何者なのか。
私は思う、大阪維新とは、関西財界=関西資本の利益を代行する党である。
最たることとして、本来大阪市民、大阪府民の財政財産を市民府民のために使うのではなく関西資本の自由にすることである。もはや成長は困難で死に直面していると言える総資本。喰らい合いの中で、大阪資本を支援することが党是である。
(七) そして、資本の意を受けて、労働者階級全民衆を威圧制圧し搾取収奪の先棒をかつぐことである。
橋下徹大阪維新が何をやったか。大阪市職員労働運動への介入、部落解放運動への悪宣伝と支援打ち切り。侵略戦争加害事実抹消と性奴隷とされた女性への悪罵。ヘイト宣伝。そして、この施策や宣伝を通して、民衆の中に、差別とヘイト感情を根づかせたこと。
(八) 大阪維新が先の市長知事の入れかわり選挙で成功したが、その時のスローガンが『大阪の成長を止めるな!』である。
そこには、『成長』という虚構、うそがある。成長を妨害する『敵対者』はお前か」という空気を感じる。
今も「大阪の成長を止めるな!」のポスターが町工場の塀や商店のシャッターに貼られてある。多くの外国人労働者が働き生きている。これが大阪市東部である。
(九) 都構想のねらいは、関西財界のために巨大都市を作りだすこと。そして民衆内部に、賛成・反対の対立と分断を生み出すことではないか。賛成派住民による反対派住民への制圧ではないか。
『都構想反対』と大書きした車を走らせながら、何か気は重かった。だが都構想賛成多数となれば大阪維新は勢いづく。
(十) 住民投票告示後、反対・賛成両派の動きが激しくなった。私の仕事場の代表が言った、「あの宣伝カー、これで走ってくれませんか」。渡された紙に『外国籍住民に投票権を』『Theirs Lives Matter』と書かれてあった。私はすぐに、このスローガンでバナーを描いた。
そしてもう一枚『大阪こわす都構想反対 おおさかのくらし仕事、子どもの未来を守ろう』。描いて貼って走る。週40時間の介護。正直きつい。だが、大阪維新を止めたい。(つづく)

3面

菅政権の政治反動菅政権の政治反動―伊藤公雄講演会
社会運動側の多様性と調整力

日本学術会議新会員任命拒否にいたる政治反動の構図〜と題して、6日、大阪市内で伊藤公雄さんの講演会が開かれ、講演後、活発な討論がおこなわれた。大阪では都構想住民投票で反対派がなんとか勝利し大阪市を維持。維新政治はまだ根強く、新自由主義政策を展開しようとしている。25年万博まで厳しいたたかいになるだろう。最近、斎藤幸平氏のいう脱成長コミュニズムが提案された。どういうインパクトをもつか。安倍の政権放り出し、菅政権で今後、どういう反動がおこるか、コロナ下、貧困・災厄の拡大をどう考えるか。トランプ後の世界情勢の中、我々が目指すべきものは何か。新しい社会運動、市民運動、左翼運動の力が待たれているとして、講演は始まった。以下、講演の概略を紹介する。(文責、小見出しとも本紙編集委員会)

伊藤公雄さん

はじめに

今年の総括として、新型コロナ対応がうまくいっている国とそうでない国との違いについて、女性がリーダーの国である点を指摘し、その違いは、「ケア精神による政治」と「経済優先。生産優先の政治」の違いである。ケアの問題が21世紀の大きなポイントになる。フェミニストの人たちが主張しているが、ケアの視点がデモクラシーの再生のために重要だ。また、学術会議任命拒否問題も安倍政権以後の今の問題点が集約されている。各国のコロナ対策に比して、日本の安倍・菅政権の対応のでたらめ性は明らかだ。

[T]安倍政治の総括

菅の前に、安倍政治の終わり方から総括しなくてはならない。今回の突然の「辞任」そのものがおかしい、意識的演出である。安倍政治の腐敗と危機は本来、2012年以降、5回辞任してもよいほどだった。モリ・カケ、桜を見る会、河井夫妻への1億5千万円の選挙資金、(元農水相の500万円収賄問題)などが一体のものとして問題化する中で安倍は雲隠れし辞任した。この金は、出所が明らかになっていない。税金だ。コロナ対応で金をばらまいているが、時間稼ぎだ。終わった後でたぶん大増税が来るだろう。
30年間GDP成長がほとんどない中で、実質賃金はずっと下がっている。一人当たりのGDPは、多くの国で上がっているのに唯一日本だけが下がっている。大企業の法人税は大幅に減らし、消費税は福祉ではなく大企業優遇のために回されている。輸出企業は戻し税で3兆円得ていて、消費税上げると大企業は喜ぶ。金は、安倍周辺の電通や特定のグループに回っている。
安倍外交は、徹底した対米従属だった。1969〜70年は一定自立していたが、今は従属的帝国主義。中韓関係は失敗している。日露関係も。十分な知識がないまま、安倍政権以降、F35や陸上イージスなどのアメリカの兵器を爆買いし、アメリカの中国包囲に加担。最後は敵基地攻撃能力。敵基地攻撃能力を持ったらどうなるか。自分の国土をターゲットにすることを選ぶようなのはおかしい。「地球を俯瞰する外交」といって世界に60兆円の金をばらまきながら、成果はほとんどない。安全保障も、もうちょっと利口な政策を取れるはず。内政も、立法府を完全無視し、行政府が暴走する状態になっている。これまでのそれなりに動いてきた官僚機構が機能しなくなっている。政治的知識が欠けた人たちのいいなりで、忖度で内政自体が壊れてしまっている。それが今回のコロナでも現れている。モリ・カケ=首相の犯罪、河井1・5億円選挙資金問題で追い詰められ安倍は辞任した。

菅の前に、安倍政治の終わり方から総括しなくてはならない。今回の突然の「辞任」そのものがおかしい、意識的演出である。安倍政治の腐敗と危機は本来、2012年以降、5回辞任してもよいほどだった。モリ・カケ、桜を見る会、河井夫妻への1億5千万円の選挙資金、(元農水相の500万円収賄問題)などが一体のものとして問題化する中で安倍は雲隠れし辞任した。この金は、出所が明らかになっていない。税金だ。コロナ対応で金をばらまいているが、時間稼ぎだ。終わった後でたぶん大増税が来るだろう。
30年間GDP成長がほとんどない中で、実質賃金はずっと下がっている。一人当たりのGDPは、多くの国で上がっているのに唯一日本だけが下がっている。大企業の法人税は大幅に減らし、消費税は福祉ではなく大企業優遇のために回されている。輸出企業は戻し税で3兆円得ていて、消費税上げると大企業は喜ぶ。金は、安倍周辺の電通や特定のグループに回っている。
安倍外交は、徹底した対米従属だった。1969〜70年は一定自立していたが、今は従属的帝国主義。中韓関係は失敗している。日露関係も。十分な知識がないまま、安倍政権以降、F35や陸上イージスなどのアメリカの兵器を爆買いし、アメリカの中国包囲に加担。最後は敵基地攻撃能力。敵基地攻撃能力を持ったらどうなるか。自分の国土をターゲットにすることを選ぶようなのはおかしい。「地球を俯瞰する外交」といって世界に60兆円の金をばらまきながら、成果はほとんどない。安全保障も、もうちょっと利口な政策を取れるはず。内政も、立法府を完全無視し、行政府が暴走する状態になっている。これまでのそれなりに動いてきた官僚機構が機能しなくなっている。政治的知識が欠けた人たちのいいなりで、忖度で内政自体が壊れてしまっている。それが今回のコロナでも現れている。モリ・カケ=首相の犯罪、河井1・5億円選挙資金問題で追い詰められ安倍は辞任した。

[U]菅政権はどうなるか

菅の力の源泉は経産省を排除して公安警察出身が中枢にあることだ。官僚統制が強く、メディア統制のなかで、経済は安倍政治の継承で動いている。
学術会議新会員任命拒否という事態の背景はすごく大きい。国際学術会議も懸念を表明している。本来、学術会議のような科学アカデミーは国のプライドにかけて置いとかなけりゃいけない。学術会議は、戦争協力の反省からつくられた。戦争反対は一貫して主張している。政府に対して要望、提言、政策提言ができる。3年間で80本の重要な政策提言をしている。政府は無視。10億円をドブに捨てているのは政府だ。
「何が政府の怒りに触れたのか?」として、学術会議が戦争協力しない声明を2回出したことを挙げた。2017年に軍事的安全保障に関する研究への声明を出し、この影響で各大学が「軍事研究しません」と声明を出した。政府は軍事問題について暴走している。武器輸出3原則があった。それが縛りになっていた。それが安倍政権で防衛装備移転3原則に変わった。とんでもない。簡単に言えば武器輸出3原則は、武器輸出は原則禁止なのである。ところが原則輸出OKというのが防衛装備3原則である。武器を売るために武器を開発する方向に日本政府が変わった。これに抵抗することになるから政府は頭にきた。安保法制に反対の人たちがたくさんいたのも事実。政府を逆ギレさせたものとして、3・11後の子どもの放射線被曝の問題、高レベル放射性廃棄物処理問題についての提言もあるのではないか。
また、「任命は学術会議の推薦にもとづいて内閣総理大臣が任命する」というのを、国会にはからずに法解釈を変えている。2018年に学術会議会長、会員にも知らせず、法解釈を変えて拒否を「正当化」している。今回の問題は日本の法秩序の崩壊であり、これは国民主権を侵すもので、3権分立から見て物理的暴力を伴わないクーデターである。
この間の@内閣法制局長官の恣意的人事、A最高裁判事の恣意的人事など、政治が介入してはいけないところに公然と介入する、B今回の学術会議任命拒否と考えると、行政府の独裁=クーデターであるといわざるをえない。
こうした行政府の独裁を支える論理として、安倍は2回も「私は立法府の長ですから」と発言している。確信犯である。これは、『世界』12月号に暴露されているが、JR東海の葛西が同じような論理をつかって、行政府の独裁を合理化していることに学んだと思われる。こうした行政府の暴走にストップをかけなくてはならない。

[V]ポスト・コロナ

20世紀後半型民主主義(普通選挙による福祉国家モデル)は限界に来ている。第二次大戦後の、国家・企業の所有する資源の再分配の構図が壊れ始めている。人口を維持した労働力確保、福祉政策を使った資本主義を維持するのが終わり始めている。「生かす政治」でなく、国家が国民に奉仕するのではなく、大企業や株主などへの奉仕になっている。国際的製薬企業への奉仕、大手旅行業者の保護、企業の利益の株主優位の再配分というようになっている。こうして、われわれ労働者や中小企業などの交渉力が弱くなっている。関生弾圧は労働組合に交渉力を持たせないということだ。

[W]コロナ情勢がもたらしたもの

コロナ情勢がもたらしたものとして、新自由主義が何をやったか。維新政治が医療を切り捨ててきたから、医療福祉などのエッセンシャルワーカーが切り捨てられてきた中で、我々は今生きている。中小業者や非正規労働者も。当然来る大増税など、ますますひろがる社会的不安定状況を見すえなければならない。
対抗軸をどこにおくか。
伊藤さんは人間が資本に使われている。人間の力で、どうやって資本の増殖運動を抑制するかが問われている。我々の運動の多様性が必要。今後、社会運動の調整・統合の必要性、力量をそなえていかないといけない。資本の支配から人間と人間の共生、人間と自然の共生へ向かうことが必要だ。改憲の動きがストップしていない中で、どういうデモクラシーをめざすのか、若い人の政治離れ、民衆の政治離れに、どう介入していくのかが課題だとまとめた。

質問とまとめ

つづいて、
@学術会議は独立した方がいいのか
A菅政権の不安定要因は何か?
BMMT理論をどう評価するか
C「成長を!」という維新政治に対置するものは何か?
D都構想否決にもかかわらずスーパーシティー構想に応募するとはどういうことか?
E衆院選はいつか?若者は何を考えているのか?
F議会闘争と街頭闘争の結合した未来社会の実現
など多彩な質問に、ていねいな応答があった。
最後に、私たちのデモクラシーをどうたたかいとるか、コロナ禍で格差・貧困をひろげる資本主義の打倒の課題や、選挙と既成政党との付き合い方(反新自由主義、反辺野古、反原発)などのまとめと行動提起が、9条改憲阻止共同行動からあった。

日本学術会議闘争
6日 神戸

内田樹(神戸女学院大名誉教授)らが発言

12月4日に閉じられた臨時国会中に菅政権は、日本学術会議任命拒否で支持率を大きく下落させた。1000を超える学会・学術団体が抗議をつづけ、兵庫県下でも多くの大学人が発言をおこない、11月の2回の市民デモに続き、6日には3回目の集会・デモが神戸市内でおこなわれた(写真上)。主催は〈憲法改悪ストップ兵庫共同センター〉と〈こわすな憲法! いのちとくらし! 市民デモHYOGO〉。
11時からの集会では、まず素粒子論を長く研究してきた森井俊行神戸大名誉教授が、今回の学術会議任命拒否は憲法にも学術会議法にも違反し学問の自由を侵すものと厳しく弾劾。教え子にも大学教員が多くいるが、彼らのためにも今声を上げなくては、と訴えた。続いて著名な思想家・武道家でもある内田樹神戸女学院大名誉教授が、「若い世代が政治や社会に関心を持てなくされているのが、安倍・菅政治8年の帰結。学問や科学を否定し、イエスマンだけを集める政治は大阪の橋下徹と同じ手法で必ず破産する。国家の場合は国を滅ぼしかねない。若い世代が自由に発信できる社会にするよう、ここにいる大人たちががんばらねば。菅政権を短命に終わらせよう」と訴えた。
「任命拒否を撤回し、推薦どおり任命することを求める」という集会宣言を採択し、三宮センター街から元町駅前までをこれまで最多の200人がデモ行進し、道行く人に菅政権の悪行を終わらせようと訴えた。

4面

革共同再建協議会党員総会の開催と、新たな執行機関選出の報告

革命的共産主義者同盟再建協議会は、7月に総辞任した関西地方委員会の再建などを目的に、11月下旬に全国総会、関西地方委員会総会を開催した。総会では、基調報告、事実経過、革共同総括の3つの報告、首都圏委員会はじめいくつかの意見・討論を受け、4つの決議を採択した。最後に12人の関西地方委員(うち3人は女性)を選出。『未来』編集委員、『展望』編集委員などを承認した。ここに総会で確認されたいくつかの決議を掲載する。

また『未来』紙に長期連載の有野まるこさんの連載終了のあいさつも併せて掲載する。

総会決議

革命的共産主義者同盟再建協議会は、2020年11月下旬、東大阪地区細胞をはじめとした各機関、組織の決定と、個人の呼びかけで、全国総会および関西地方委員会総会を開催した。
1)本日われわれは、旧関西地方委員会議長の無責任な辞任=逃亡・党破壊を許さず、闘う再建協議会の再生に向け、新たな戦闘態勢を確立した。われわれは7月下旬におこなわれた、新たな執行体制なき地方委員会解散を断じて許すことはできない。
前関西地方委員は、昨年末に発生した性暴力事件について、金銭解決を推進する腐敗に陥った。そして当該地区細胞の加害者の謝罪と反省を実現しようとする努力や、党の女性差別と向き合わない現実とのたたかいを、上から抑え込もうとしてきた。ついには革共同・再建協としてたたかってきた歴史を全否定し、その理論・運動・組織に悪罵を投げつけ、一切の責任を放棄して辞任した。
2)7月下旬以降、数カ月にわたって党としての執行体制が崩壊している中で、党員の必死のたたかいは続けられた。沖縄・反基地・反核・反原発、生活破壊とのたたかいに取り組んできた。「骨格提言」の完全実施を求める大フォーラム等をコロナ禍の中で新たな形で、全国の人々とともに実現した。
11月1日の大阪市廃止住民投票をめぐっては、大阪市民の中に深く入り込み、奇跡的な勝利をもぎ取り、市民と感動的な喜びを共にすることができた。
3)危機にのたうつ帝国主義は、世界革命の未達成によって延命を続け、新自由主義という局面に入っている。その新自由主義は「格差と貧困」といわれるように人民の生活を破壊している。自然破壊や医療体制の削減は、新型ウイルスによるパンデミックを引き起こし、人民の命も奪っている。支配の危機の中で差別・排外主義がかつてなく煽られている。
安倍を引き継いだ菅政権は、安倍以上に改憲の野望を表明している。むき出しの新自由主義と強権体制をあらわにしている。
4)われわれは、全世界で、帝国主義―新自由主義に対するたたかいに立ち上がる人民と連帯し、菅政権打倒に決起する。その中で細胞をはじめとする各級の組織を「討論し、決定し、行動する」生きた組織として作り上げていく。
そのためにも革共同、再建協の総括、さらには共産主義運動の歴史的総括をおこない、人民主体の共産主義運動を作り出していく。
5)最後に女性差別事件の被害女性にあらためてお詫びするとともに、加害男性を追放して逃げ出すのではなく、党としての自己批判を深めていく。糾弾・自己批判の過程で加害男性と、党自身の自己変革を必ずや実現する。以上決議する。
2020年11月下旬 革命的共産主義者同盟再建協議会党員総会

東大阪地区細胞の自己批判と新たな決意

昨年12月30日、東大阪地区細胞所属のHが深刻な女性差別・「障害者」差別をひきおこしました。私たちは被害女性のAさんには申し訳ない気持で一杯であり、謝罪の言葉もみつかりません。このような差別事件を引き起こした原因は、私たちが女性解放闘争、「障害者」解放闘争において“死んだ”細胞だったことに起因すると考えています。したがってこの問題の本質的解決は、私たちが女性解放闘争、「障害者」解放闘争等において“死んだ”細胞から“生きた”細胞に飛躍すること、それに挑戦することだと考えるものです。
私たちは事件発生直後の地区会議でHに対して事件発生日を起点として向こう1年間の党員権の停止、自己批判が貫徹しない場合はさらに延長する等の処分を決定し、ただちにHに対する事実確認・糾弾を開始し、Aさんへの謝罪とつぐない、そして二度とこのような差別事件をひきおこさないための闘いを開始しました。
『未来』299号の「同盟員による性暴力事件について深くおわびします」という記事は推測に基づくものが多く含まれているだけでなく、今回の差別事件をH個人の責任にしており、Hを生みだした党の問題にはまったく触れていません。さらに党員の処分権限があたかも関西の「臨時総会」にあり、「無期限の資格剥奪処分」を決定したかのように記載されていますが、これは誤りです。党規約によれば当該細胞たる東大阪地区細胞が処分することになっています。私たちは1月段階で前記のような処分を決定し、この11カ月間、Hに対する糾弾と自己変革を求める闘いをおこなってきています。
党の問題にメスを入れない同記事の姿勢は無責任であり、このような姿勢は党と階級、そして読者を裏切るものです。党はHの加入後も女性差別・「障害者」差別を含めて事実上何らの指導もしてこなかったのです。党は空洞化していたのです。こういう党だったからこそこのような差別事件が引き起こされたのです。まさしく革共同と13年間の私たち再建協議会の内実が問われているのです。
革共同は7.7自己批判の立場に立って、これまで差別事件に対してそれを党の問題としてとらえ、どんなに不十分でも党の飛躍と発展のために闘うことを決意してきましたが、こういうあり方が解体し空洞化してきたのが現実なのです。この現実を直視することから闘いを始めるほかありません。Hのような差別思想にまみれた一人の人間すら変えることができなくてどうして多くの人たちに影響力をもつ、地域に根ざした党をつくれるでしょうか。だからこそ党籍剥奪、追放は間違っており、ゆえに党がこの闘いに全責任を負わなければならないのです。私たちはこのような決意で自分を変え、Hを変え、党を変え、Aさんに通じる謝罪を実現していくために総力をあげていく決意です。
2020年11月下旬

前地方委員の解任

4号決議

前臨時総会で採択された議長および地方委員の辞任の「承認」を取り消し、今総会の決定として「解任」とする。また、3月に地方委員会が発出した「強制わいせつ事件にかんする調査報告書」と、地方委員会に報告された「O聞き取り報告書」は事実に基づかないものであり、これらは取り消します。

  理 由
地方委員会は全党員から選出された党の代表であり、責任を委託された執行機関であるのに、今回の性暴力事件に対し、党としての謝罪と党としての自己批判を貫徹することを放棄し辞任したことは、自らの責任と任務を放棄するものであり、絶対許されません。 しかも、今後の体制を作ろうという動議をも無視し、辞任「承認」の採決を強行したことは「もう自分たちには責任はない」という無責任な開き直りであり、許されません。 よって、今総会の決議として、前回の辞任の承認を取り消し、前議長および前地方委員を解任とします。 

党籍不存在の確認

5号決議

前議長の党籍喪失(もはや党員でないこと)を確認する。

  理 由 これは処分ではなく、党としての認識の問題です。党としては「前議長は自ら離党した」と見なすということです。
前総会で、前議長は「議長辞任のあいさつ」として「実践的な結論を述べます。私は革共同の理論、組織、運動と完全に決別することだと考えます。」と述べました。「完全に決別する」ということは、単に議長職の辞任だけではなく、党からの脱退をも宣言したということです。
党に加盟するときは党の承認が要りますが、党からの脱退は各人の決断・決定です。前議長自身が「完全に決別する」と述べているのですから、私たちは前議長の離党を確認します。

連載
「命をみつめて見えてきたもの」を終えるご挨拶

読者の皆さま。ガンの悪化によって「障害者」となり、「死」とも向き合うことになり、7年間のガン療養で見えてきたものを書かせてもらってきました。命をみつめ、過去をふり返り、残された人生を如何に生き切るか? を考えることは、関わってきた組織や活動、理論や思想の総括と反省を深める営みとも重なりました。 
昨年12月、組織員が引き起こした性差別・「障害者」差別暴力事件が、直後、被害女性の勇気ある怒りの告発・糾弾により明るみにでました。私たちの組織と思想は根底的反省をつきつけられたのです。しかし私たちは、一人一人が人間としての根源的怒りをもって、真剣に被害女性とお連れあい、および「事件」全体と向き合い、直ちに糾弾の闘いに立ちあがることができませんでした。#MeToo運動が世界のうねりとなり、性差別・性暴力廃絶が人類史的テーマであることが鋭く提示されてきた中で…。今も怒り、申し訳なさ、恥ずかしさと無念でいっぱいです。このことが最後の、大きな契機となり、私は革命的共産主義者同盟、その後の再建協議会の破産を確認せざるをえず、別の道を歩む選択に至りました。
こうした経緯から、前記同組織の機関紙として発行される『未来』への連載の掲載は終えます。「未来編集委員会」発行の『未来』には引き続き連載を続けます。機会があればお読み下さい。1年間おつき合い頂いたことに感謝します。ありがとうございました。
    有野まるこ

5面

砂丘上の柏崎・刈羽原発
東電の原発再稼働を認めない

津田道夫

東京電力は柏崎・刈羽原発の再稼働を画策している。2020年9月23日、柏崎・刈羽原発について原子力規制委は事故時に社長の法的責任を明記した「保安規定」の変更を了承した。これをもって、「再稼働にむけた技術的な確認はすべて終わった」として、東電は地元合意を狙っている。しかし現在のところ、新潟県は再稼働を認めていない。

東京電力・柏崎刈羽原発

福島原発事故の原因は、いっさい解明されていない。しかも、柏崎刈羽原発は中越沖地震で事故をおこしている。住民の安全のために、充分な対策がなされているのだろうか。ここでは、柏崎刈羽原発の再稼働問題について検討していきたい。
 東京電力の柏崎刈羽原発は、新潟県の日本海に面した海岸に立地している。この原発は、田中角栄が利権を目あてに誘致した。これとセットで、「電源3法交付金」(1974年)が田中内閣のもとで作られた。電力会社と政治家と地方自治体が一体になって、柏崎刈羽原発建設が推進されていった。
1969年9月に、東電が柏崎刈羽原発の建設計画を発表した。反対運動がまきおこり、東電は土地の買収に7年の歳月を要している。1号機は、 78年12月から建設が始まり、 85年9月に営業運転をはじめた。現在までに1〜7号機まで造られており、総発電電力は821万2000kWに達する。世界最大の原子力発電所だ。
1960年代の高度成長期、エネルギー不足をみこして、東電は原発建設を急いでいた。ここでは、海岸砂丘の広大な空き地が原発建設の候補地になった。地元住民は次のように語っている。「一反五、六万でも買い手のつかなかった松林が三十万となり、反対運動がはじまると立木分をふくんで八十万円にもなった。それが買収に拍車をかけた。」
 2007年7月、中越沖地震がおきた。この地震は原発にたいする自然からの警鐘だったが、東電はひたすら再稼働を急いだ。警告は生かされなかった。こうして、福島第1原発の大事故にいたった。

原発は砂丘の上に造られた

日本列島は活断層の巣で、地震がおきない場所はない。もし原発を建設しようとすれば、充分な地震対策が求められるはずだ。
柏崎刈羽では、砂丘地に原発が建てられた。この原発は文字どおり「砂上の楼閣」なのだ。地盤は大丈夫なのだろうか。地震の時に、原発の安全性は保たれるのだろうか。これは、市民がいだく素朴な疑問だ。その後、この疑問は中越沖地震で実証されることになる。
柏崎原発反対同盟(1970年結成)が作られ、反対運動がはげしく闘われる。1979年7月、反対派は1号機設置許可取り消し訴訟をおこした。裁判では、陸上部の活断層について、地震の可能性が議論されている。この時、海底の活断層についてはまったく論議にのぼっていない。
1979〜1985年にかけて、東電は周辺海底の活断層調査をしている。さらに、2003年には、新たな耐震指針(2000年改訂)をうけて、海底活断層の再評価をおこなっている。この時、東電は海底に7本の活断層があることを把握していた。しかし、海底の調査データをずっと隠していた。東電にとって、不都合なデータだったからだ。中越沖地震以後、海底活断層の存在が問題になり、東電はやっと海底活断層の存在を公表した(2008年)。この周辺では、陸上にも海底にも、たくさんの活断層が走っている(図参照)。
柏崎刈羽原発は、現実には「場所ありき」で原発が造られた。また、地元自治体は金を目あてに誘致した。こうして、1カ所に7基の原発が造られた。

中越沖地震による原発事故とその対応

2007年7月、原発から16qほど北の海底で、中越沖地震(マグニチュード6・8)がおきた。この地震は海底の活断層が動いたものと考えられている。このとき4基(2・3・4・7号機)が稼働していたが、幸運にも緊急停止した。
この原発は砂丘地に建てられており、もともと地盤が軟弱なのだ。敷地内に断層がある事も指摘されている。原発敷地内では、「震度7」だった。3号機タービン建屋1階で、2058ガル(想定834ガル)の地震動が観測された。なんと基準地震動の2・5倍だ。さらに、3号機の変圧器で火災がおきている。また、6号機建屋内で核燃料貯蔵プールの水が地震のゆれであふれ、放射性物質が漏れ出した。
 基準地震動は、起こりえる地震の平均値を表している値ではない。1万年〜10万年に1回起こりえる、考えられうる地震の最大値をあらわす。原発敷地内で、基準地震動を超える地震はいままでに4回(@2005年8月、女川原発、A07年7月、志賀原発、B07年7月、柏崎・刈羽原発、C11年、福島第1原発)観測されている。原発が稼働をはじめて50年になるが、50年間で4回もおきているのだ。
これは基準地震動が過小評価されていることを示している。電力会社は基準地震動をできるだけ小さくして、建設費を安くすまそうとする。断層の距離を短く見積もり、計算値を小さくおさえている。
また、変圧器の火災はどうだろうか。東電は「原子炉でなくてよかった。変圧器はたいした損害ではない」という対応であった。しかし、この事故は耐震性が弱い箇所に揺れによる強いストレスがかかり、損傷した可能性を示している。
 この事故に対して、国と東電がおこなった緊急対策は次のようなものだ。国は、「電源立地地域対策交付金」を、この年にかぎって3倍にした。東電は、新潟県に30億円を寄付した。金をばらまいて、地元の怒りをおさめようとした。住民はここで日々生活をしている。この住民の安全性については、まったく考慮されていないのだ。
2009年12月に7号機、10年1月に6号機、10年8月に1号機、11年2月に5号機と、東電は次々に再稼働させていった。しかし、2012年4月以降、すべての原発は止まっている。

柏崎刈羽原発を廃炉に

 東京電力は福島原発事故の原因が解明されていないにもかかわらず、企業の利潤だけを追求して、柏崎刈羽原発の再稼働を画策している。2〜4号機のどれかを廃炉にするかわりに、6・7号機の稼働を認めさせる、東電はこういうことを考えているようだ。なんとしても再稼働させる、これが東電の意志表示なのだ。
 100万キロワットの原発が1年間で生み出す利益は1000億円。事故がなければ、原発はこのように儲かる。とくに、6・7号機は改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)で、発電能力が135・6万と大きく、財政難に苦しむ東電にとっては金のなる木≠ネのだ。
 今、原発立地自治体だけでなく、周辺自治体の承認も必要にする運動がおきている。  2018年、日本原子力発電は東海第二原発にかんして、立地する東海村のほか30キロ圏の5市から事前同意を得るとする安全協定を結んだ。こうして、東海村と周辺市が足並みをそろえて日本原電との交渉に当たることを確認している。  新潟でも同じような動きが始まっている。この動きに対して、新潟県の対応は消極的だ。従来どおり、県と原発立地自治体の2者に限定しようとしている。この点で、東電の思惑と一致している。新潟県は、何らかの条件交渉を考えているのだろう。  再稼働阻止を新潟県の力にたよるのはすこぶる危険だ。2012年から、人格権に基づいて柏崎刈羽原発運転差し止め裁判が新たに新潟地裁で争われている。民衆の力で再稼働を阻止すること、これが求められている。「砂上の原発」は廃炉にせよ。住民の安全を考えない東電に、原発を動かす資格はない。人民の力で、柏崎刈羽原発の再稼働を阻止しよう。

医療観察法を廃止しよう

越智翔太さんが報告
12月6日

12・6医療観察法を廃止しよう! 全国集会は、豊島区民センターには50人が、ZOOMで全国53カ所に60人が参加しました。コロナ禍の中での全国集会として成功したと思います。 集会の基調報告は医師の越智祥太さんがおこないました。
「社会改革と精神医療の改革」と題し、社会の辺縁から観察法と同じ構造を見て改革を考えたい。30年間野宿者、ドヤ、夜回りに関わってきた。医師27年間、うち院長になった10年間は隔離拘束せず全任意で病棟をなくす運動をおこなってきた。コロナ禍でいま野宿者が増加中。家族・仕事・居場所・蓄え・福祉医療・人権が失われ、規範・義務だけ強制される逸脱があり、三等市民にされる。土地・財産の私有制はおかしい。恥の烙印を押され一般医療から排除されているからこそ、情愛で入り込めば言葉を超えた信頼が生まれる。社会と精神科の改革をどう成し遂げられるのか、考え、実践行動、省庁交渉、街頭行動が必要だ。コロナ禍で菅政権は露骨に新自由主義・公安国家主義を進めている。GoToキャンペーンで第3波を引き起こしても責任を取らない。いまは、騒乱や政権打倒につながる革命情勢だが反対運動の受け皿が乏しく、国家に吸収されている。
社会改革は生存・生活・就労を取り返す運動だ。市民主体で労働価値説を超える論理を。コロナ禍で精神科病院は面会拒否・患者の権利制限など隔離収容主義を強めている。精神科の改革のためには経済的なインセンティブも必要。地域精神科福祉医療の取り組みも精神病院構造を解体しなければ入院に取り込まれてしまう。減床と精神科特例の廃止が必要。刑法39条の心神耗弱・心神喪失は重度意識障害のみに適用されるべきだ。精神障害者が市民の権利を取り戻すことにもつながる。などなど、社会革命の論理も提起するお話でした。
医療観察法元対象者の生々しいお話、刑事法制大改悪との闘いの提起の後、私からは、神出病院事件について最新の情勢を報告。神戸市が姿勢を大きく変化させているなかで、共に国=厚労省に法改正を迫り神出解体をたたかおうと提起しました。(高見元博)

短信

12月2日、改正種苗法が参議院本会議で可決、成立した。種苗法とは、コメや野菜の新品種を開発して登録した場合、開発者の知的財産権を保護する法律。今回の「改正」では、登録品種について、自家増殖を原則禁止とし、登録期間の25年または30年の間は、許諾料を払わなければならない。農民は、自家増殖が禁止となれば、種苗を毎年買わなければならず、もう農業はできないと強く抗議している。

6面

天皇制下で強制移転
奈良・洞村フィールドワーク

大和三山のひとつ畝傍山は奈良県橿原市にある。その北東山麓に神武天皇陵があり、南東山麓に橿原神宮が建てられた(1890年)。それは神話にもとづくもので、天皇制イデオロギーを強化するために、明治時代に政府の手によってつくられた。その後、1917〜20年に、畝傍山麓にあった洞村(208戸、1054人)は、現在の大久保町に強制的に移転させられた。この村がでっちあげられた神武天皇陵を見下ろす位置にあったからだ。
11月15日、世直し研究会の主催で、「洞村強制移転を検証するフィールドワーク」がおこなわれた。地元の大久保町に住む三宅法雄さんが案内。

畝傍御陵前

近鉄駅・畝傍御陵前に集合し、大久保町内にある「おおくぼ・まちづくり館」にむかった。この建物は強制移転させられた農家住宅を改装したもので、その規模と大きさから、村の有力者であったようだ。この資料館には、移転に関する資料と当時の生活がわかるように展示されている。
その後、大久保町内にある生国魂神社にむかった。江戸時代(1668年)、この神社は洞村に建てられた。当時、この村には公衆浴場もできており、部落産業が発展していたのだろう。現在の神社は住民とともにこの地に移転してきたものだ。神社に奉納されている絵馬には、天皇と被差別部落の結びつきが語られている。この絵馬は、強制移転で大阪に移住した住民が奉納したものだ。ここからは、権力の側は天皇制イデオロギーをつかって被差別部落民を取り込んでいこうとしている。この意図がよみとれる。

▲配布された資料

移転された洞村

神武天皇陵正面から畝傍山にはいり、洞村跡にむかった。今は住居跡を偲ばせるような地形はなくなり、畝傍山の一部となって、大木がうっそうと茂っている。しかし、山肌をよく見れば瓦のかけらが残っている。棕櫚の木がいたるところに生えている。これは家の庭木として植えていたものだ。この村では、部落産業として棕櫚の葉を使った下駄表をつくっていた。当時を思わせるのは井戸跡だ。レンガでつくったりっぱな共同井戸(山の斜面に横堀になっている)が、歴史を物語るように山肌に残っている。この足下(標高で5〜6メートル)に、現在の神武天皇陵があるのだ。
三宅さんの説明によれば、洞村の本村は山本村(現在は山本町)だったとの事。ここの墓地は洞村よりも高いところにあり、したがって神武天皇陵よりも高いところにあるのだが、山本村の強制移転はおこなわれなかった。ここに国家権力による部落差別がある。
被差別部落民が神武天皇陵を見下ろす位置にあるのは、天皇制権力にとって許せないことだった。
これだけではなく、権力は被差別部落民を国家に従わせることによって、天皇制イデオロギーのもとに取り込もうとしている。ここに権力の部落差別がみてとれる。洞村の強制移転を考えるうえで、絶対に忘れてはならない事なのだ。 洞村の住民とその子孫は、今日においても洞村の強制移転に怒っている。この怒りがある限り、被差別部落民はけっして天皇制イデオロギーに絡め取られることはない。依然として、権力者はこの怒りを押さえ込もうとしている。天皇制イデオロギーにたいする闘いは、今日も続いているのだ。フィールドワークにおいて、このことを強く感じた。(鹿田研三)

7月22日)

▲共同井戸の跡 村のかなり高いところにあった。この井戸は横堀で、山から湧きでる水を利用している。奥は堀のようになっており、水がたまっていた。









シネマ案内
『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』
(監督 アグニシェカ・ホラント
ポーランド映画/2019年)

1933年、世界は大恐慌におおわれていた。英国の記者ガレス・ジョーンズ(実在の人物)は、独ソ戦勃発に危機感を抱く。彼はその可能性を知りたいと思い、スターリンに単独インタビューをするために、個人記者としてソ連を訪問する。モスクワ滞在中に、「ウクライナでは何かたいへんな事態がおきている」という噂を聞き、彼はウクライナにむかう。ウクライナで見たのは、死体が街路にころがっている光景だった。何がおきているのか。この時、ウクライナでは農民が餓死しつつあったのだ。
当時、ソ連は「5カ年計画」によって工業化を推進していた。このなかで、1932〜33年に、ウクライナで大飢饉(ホロドモール)がおきている。餓死者は少なくとも250〜350万人(研究者によって、250万から1450万人まで幅がある)といわれている。 これはスターリンが農業を集団化し、農民から強制的に穀物を徴収したことによっておきた。農民はみずから食べる穀物がなく、木の樹皮を食べて飢えをしのいだ。映画のなかでは、人肉を食べたことも描かれている。これらの事実は、まったく公表されなかった。
ジョーンズはイギリスに帰り、ウクライナで見た事実を発表する。しかし、だれも信じようとしない。ソ連との外交関係の悪化をおそれて、新聞記事にもできなかった。彼はアメリカの新聞王ウィリアム・ハーストに掛け合って、その大衆紙に記事を発表するが、「反共宣伝」以上に評判になることはなかった。
その後、ジョージ・オーウェルが小説(『動物農場』、『1984年』)という形で発表することによって、スターリン主義の問題がやっと知られるようになった。ちなみに、ジョーンズ記者は満州で取材中に亡くなっている(1935年8月、30歳になる直前)。今日では、彼の存在はまったく忘れ去られている。
ポーランド出身のホランド監督は、映画のなかでスターリン体制を冷たく・厳しく描いている。公安警察が外国人記者を尾行し、記者の会話を盗聴してまで、「革命」を防衛していた。ソ連当局は、何よりもウクライナの現実を人民に隠していた。事実が漏れてきて、ジャーナリストもある程度は知っていた。しかし、体制に妥協し、それ以上に調べることはしなかった。
独ソ不可侵条約(1939年)は、ソ連型「社会主義」にたいする不信をもたらした。知識人は、プロレタリア革命を実現するソビエト連邦の存在に希望を見いだそうとしてきた。スターリン主義が革命運動のなかで問題になってくるのは、やはりハンガリー事件(1956年)以降なのだろう。
映画では、真実を伝えるジャーナリズムの重要性が強調されている。これは今日的な問題だ。日本でも、官邸独裁の圧力によって、ジャーナリズムが独立性を失いつつあるではないか。真実が隠されるとき、知る権利が制限される時、人々の自由が抑制され、独裁がはじまる。
体制にかかわらず、われわれはこのことに敏感でなくてはならない。危機の時代にあって、人民の立場に立って、正しく事実を伝える新聞が必要だ。人民は自分たちの力で自分たちの新聞を作りだしていく必要がある。

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