未来・第104号


            未来第104号目次(2012年5月1日発行)

 1面  原発稼働ゼロ 実現へ

     関電本店 400人で包囲
     夏の電力不足≠ヘウソ

 2面  TPP=環太平洋パートナーシップ協定
     交渉参加の必要はない

     非正規雇用差別に怒りを 京都で市民集会

 3面  大和田委員長の逝去を悼む

     JR尼崎事故から7年 福島と尼崎を問う

     原発ゼロをめざして 国会周辺で連日行動

     自立支援法の問題残す「障害者総合支援法」
     連休明けの成立ゆるすな

 4面  辺野古新基地建設を阻止し
     沖縄闘争の歴史的勝利へ(上) 島袋純二

     許せない沖縄差別
     密約に縛られる政府 4・20東京

     自衛隊が海外に訓練場を建設 テニアン・フィリピン

 5面  第3期沖縄意見広告運動
     基地撤去の民意示そう

     投稿 自衛官はなぜ退職せずに自殺してしまうのか
     元自衛官 鈴木一夫

     原発収束作業の現場から ある運動家の報告 ―第5回―

 6面  一日も早く脱原発を
     「原発はいらん!若狭一日バスツアー」に参加して

     新たな捜査手法と共謀罪ゆるすな

       

原発稼働ゼロ 実現へ

福井県おおい町 住民説明会で訴えひびく

4月26日、福井県おおい町で、関西電力大飯原発3・4号機の再稼働にかんする町主催の住民説明会がおこなわれた。

大飯原発の再稼働反対
住民説明会にたいし横断幕をひろげて再稼働の危険性を訴える。会場の町総合運動公園〔写真後方〕は、3日前から封鎖された。(4月26日 福井県おおい町)

厳戒警備の説明会
説明会の会場となった町総合運動公園は、3日前から入口をバリケード封鎖して、警備員が出入りをチェックしていた。説明会に参加できるのは事前に申し込んだ町民だけで、それ以外は完全にシャットアウト。会場の入口では、参加した町民ひとりひとりに金属探知機でボディチェックをおこなうという厳戒ぶり。こうした異様な警備体制をとらざるを得ないことの中に、政府が「再稼働反対」の広範な世論に追い詰められていることが示されている。

住民から不安の声
説明会に参加した住民は546人。政府からは柳沢光美経産副大臣と原子力安全・保安院および資源エネルギー庁の職員が出席。1時間半の説明会の半分は住民からの意見や質問に費やされた。
柳沢副大臣の「絶対安全とはいえなくても、確認しながら再稼働を進めていく」という説明に、住民から「本当に大丈夫なのか」という疑問の声があいついだ。
「検証が不十分な段階で大飯原発の再稼働は考えられない」「想定外の地震に耐えられると示されていない」「原発を動かさなくても、病院など電気がどうしても必要な施設を優先すればうまくいく」「副大臣の説明は上っ面だけ。人間の力でどうにもならないものは、やめるべき。廃炉にすべきだ」など、発言した住民8人の大半が再稼働への不安や反対の意志を表明した。
当日は関西を中心に80人が「再稼働反対」を訴えるために会場前にかけつけた。
説明会を終えて出てきた住民の中には、会場の外でアピールしていたグループに、説明会で配られた資料一式を手渡してくれる人もいた。地元の住民との絆を深め、再稼働を阻止しよう。

岐阜・愛知の住民が関電本店に申し入れ

「私たちも被害地元です」と岐阜・愛知の住民(4月26日 関電本店前)

4月26日、岐阜・愛知の住民が、バスをチャーターして、大阪市内の関電本店を訪れ、「岐阜・愛知は福井の原発の地元です」「私たちの声も聞いてください」と再稼働反対を訴えた。この日、訪れたのは、〈さよなら原発・ぎふ〉を中心とした約25人。
〈福井の原発からの風向き調査プロジェクト〉が水晶浜(美浜原発の目の前)で、3月3日に風船をとばして風向き調査をしたところ、千個飛ばして98個が回収され、うち81個は岐阜県内で発見。愛知県でも7個が発見された。これは、岐阜・愛知が「福井の原発の風下」であり、被害地元であることを示している。

関電本店 400人で包囲
夏の電力不足≠ヘウソ

大飯原発3・4号機の再稼働がたくらまれる緊張した情勢下の4月21日、大阪市内で、再稼働反対の集会デモがおこなわれた。〈とめよう原発!!関西ネットワーク〉がよびかけ、41団体が賛同してひらかれた。
集会は午後1時から、中之島公園・市役所南側で始まった。
司会あいさつ、よびかけ団体あいさつに続き、「福島からアピール」。福島から京都に避難してきた女性が、復興の名で被災者が分断され、汚染食品・放射能ガレキが全国に拡散されようとしていることを弾劾した。
「福井からアピール」は、〈サヨナラ原発福井ネットワーク〉の山崎隆敏さん。枝野経産相の福井県庁訪問を弾劾した14日のたたかい。反対の声は拡大し、原発賛成は敦賀・美浜・おおい・高浜の原発立地の4市町だけ。電力会社から金をもらっている県の安全専門委員の解任請求を出した。大飯原発の安全対策はまったく不備。26日のおおい町説明会が重大、と訴えた。
「関西からアピール」は〈ストップ・ザ・もんじゅ〉の大島さん。4月9日から13日までの関電前リレーハンストを報告。自治体首長の「関西も地元」という声を組み立て、再稼働を阻止しよう、5・27扇町公園での大集会に参加を、と訴えた。
カンパアピールをはさんで、連帯のメッセージ。経産省前テントひろばの「集団ハンスト」に参加し、議員活動をおこないながら48時間ハンストをおこなった服部良一衆院議員からのメッセージが読み上げられた。

リレートーク
福島支援弾圧で不当逮捕された古河さん、関電交渉をたたかっている仲間、反戦・反貧困・反差別共同行動(きょうと)、おかんとおとんの原発いらん宣言2011、熊本からかけつけた女性、地球救出アクション97、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、釜崎日雇労働組合から、発言が続いた。

関電本店へ
デモは、大阪市役所前から、大阪駅の南側をかすめて、三菱重工、関電本店へと進んだ。
関電を越えて200メートルの地点でデモは終了。
その後、参加者は三々五々、関電前に戻り、ヒューマンチェーンが始まった。デモ参加者のほとんどが参加し、関電本店は二重三重に包囲された。路上には各種バナーが大量に貼り付けられた。
その後、リレートークにうつり、最後にバンド「はちようび」のライブ演奏がおこなわれた。

5月5日で全停止を
大飯原発を再稼働させず、後に控える伊方原発(愛媛県)も再稼働させなければ、5月5日には、国内の原発54基がすべて停止する。現在、稼動中の最後の原発・泊3号機(北海道)がその日、定期検査に入り、停止するからだ。
それ以降、原発なしでもやっていけることを、皆が体感することになる。原発無しで社会が運営できることが実証される。関電は「夏場の電力不足」を言うが、その根拠はあいまいだ。
大飯の再稼働を許し、再び原発依存の社会に戻すのか、再稼働を阻止し原発のない社会をつくるのか、いま大きな分岐点にある。
再稼働を阻止し、全原発を廃炉に追い込もう。

関電本店前をいくデモ隊(4月21日 大阪市内)

2面

TPP=環太平洋パートナーシップ協定
交渉参加の必要はない

4月16日、大阪市中央公会堂で「TPP加盟反対!!慎重な対応を求める4・16集会」が開催された。呼びかけたのは全農林近畿地方本部と全港湾関西地方本部。日本農業研究所客員研究員の服部信司さんが集会でおこなった記念講演の内容と、服部良一衆院議員の発言を紹介する。(文責編集委員会)

徹底した秘密交渉
TPP交渉の最大の問題点は、それが徹底した秘密交渉であるということ。交渉24分野についての各国の提案は、一切公表されていない。交渉国の国民ですら、自国や各国から何が提案されているかわからない。ところが、業界団体には提案・交渉内容は伝えられているのだ。こうした情報管理がおこなわれている。

手を縛られた交渉
唯一明確になっていることは、「関税を原則的に撤廃する」ということだけである。日本に残された交渉の余地は、せいぜい関税撤廃までの期間を5年にするか10年に
するかということでしかない。農業分野で一定の関税が必要な日本にとっては、まさに「手を縛られた交渉」というほかない。
このかんリークされてきた米国の提案は、大変な問題をはらんでいる。

米企業が薬価に介入
まず薬品の価格決定に、米国の製薬会社が介入することができる問題。アメリカの製薬会社が、日本の薬価が低いと判断すれば、その値上げを要求することができるようになる。米韓FTAによって、韓国では米企業の要求に応えて薬価を見直す独立の機関を設置された。また米豪FTAの結果、オーストラリアの薬価は上昇している。

ワクチン特許12年
つぎに問題なのは、血清やワクチンなどの生物学的薬剤の特許期間が、12年と大幅に延長されることだ。通常の特許期間は日本で8年、米国で5年である。ところが米国は2010年に期間12年のデータ独占権(特許権)を生物学的薬剤に導入した。これを他国にも導入しようと企んでいる。
そうなると、「途上国」などにおいて必要なワクチンや血清などの生産が、たちまち困難になる。米企業の利益のために多くの人命を犠牲してはならない。

米ルールの押しつけ
三つめは「投資家対国家の紛争解決メカニズム」である。これは米韓FTAに導入され、「毒素条項」と呼ばれている。これについてオーストラリアは、自国企業より外国企業により多くの権限を与えるとして反対している。
以上のような米国提案をみれば、TPPの目的が米企業(とくに製薬会社)の利益を露骨に追求するものであり、他国に米国ルールを押しつけるものであることは明らか。このような交渉に参加する必要はまったくない。

「第三の開国」はウソ
政府はTPP参加を「第3の開国」「アジアの成長をとりこむ」などと宣伝しているが、まったくのデタラメだ。日本の平均関税率は2・5%。世界中で最も低い。農産物でも12%にすぎず、EUの20%に比較すればはるかに低い。アジアの成長センターである中国が参加しないTPPでどうしてアジアの成長をとりこむことができるのか。
内閣府の試算でも、TPP参加による日本のGDPの伸び率は10年後でわずか0・54%2・7兆円(年平均0・27%、1・3兆円)にすぎない。これと引きかえに農業を壊滅させ、日本社会のあり方に危惧を与える方向を選択してはならない。

非関税障壁撤廃ねらう  衆院議員 服部良一さん

服部良一さん

TPPの本質は通商交渉の面だけではなく、非関税障壁を撤廃しろということだと思います。

米でも反対が強い
232人の国会議員でつくる議員連盟「TPPを慎重に考える会」が、昨年、訪米団を派遣しました。すると、2010年9月のNBCとウォールストリート・ジャーナルの世論調査で、アメリカ国民の69%が「米国と他国とのFTAは米国の雇用を犠牲にしている」と回答していたことがわかりました。米国に利益をもたらしているという回答は17%です。米国民もTPPには反対意見が非常に強いのです。

米企業が政府に勝訴
ISD条項の問題ですが、こういう話があります。米企業が、アルゼンチンで水道事業を請け負って水道料金の値上げをしようとした。アルゼンチン政府がそれをやめさせたところ、「米企業の利益を損なった」ということで裁判になった。1・6億ドルの賠償が提訴されたんですが、なんと米企業が勝ったんですね。
〈米多国籍企業の利益のために日本市場を開放しろ、日本の規制を撤廃しろ〉というのがTPPの本質だと思います。
今日の集会を皮切りに、このTPPの危険性を広めていくことが必要だと思います。



非正規雇用差別に怒りを 京都で市民集会

4月21日、「使い捨てやめて! 有期労働契約を規制し、安心して働くことができる社会をめざす市民集会」が京都市内でひらかれ60人が参加した。主催は〈非正規労働者の権利実現全国会議〉。

現場からの告発と特別報告
最初に、有期労働契約で働いてきた労働者から、現場の闘いが報告された。職場復帰を勝ち取った龍谷大学助手の方、現在闘争中のダイキン工業からの報告、京都大学の5年で契約打ち切りと闘った「時間雇用職員」の方、団交応諾命令をかちとった京都市役所の非常勤嘱託職員の方、一旦は雇い止めを撤回させた法テラス奈良法律事務所の非常勤職員の方から報告がおこなわれた。
その後、有期労働契約の問題点を明らかにする特別報告として、塩見卓也弁護士から「労働契約法改正案の解説」がおこなわれた。
次に、代表幹事の脇田滋さん(龍谷大学名誉教授)から「有期労働規制のための運動的課題/日韓比較の観点で」と題して、以下の報告があった。

脇田滋さん
日韓を比較して
4月11日におこなわれた韓国の総選挙では、非正規雇用労働者の権利が争点になり、与党も野党もこぞって非正規雇用労働者の権利を保護する選挙公約を掲げて闘われた。昨年10月、市民派候補として当選したソウル市長は、同市の2800人の非正規雇用労働者の内、財源のメドがついた1054人を正規職にすることを発表し、残りも予算を手当して正規職にしていくとのこと。日本とは正反対だ。ソウル市の人口は韓国の4分の1を超え、影響力は大きい。年末には大統領選挙もあるから韓国の動きは目が離せない。
韓国ではIMF管理になった98年に正社員を含めて100万人が解雇され、さらに日本の派遣法に当たる「派遣勤労者法」が制定され、雇用の流動化が進められた。しかし、非正規雇用労働者を含めた激しい闘いが続けられ、06年には有期労働契約者も派遣労働者も2年経てば正規職に転換すること、正規職との均等待遇もおこなうという内容が派遣勤労者法に盛り込まれるところまできている。

日本での運動
しかし、日本では改正派遣法の目玉だった「製造業派遣・登録型派遣の原則禁止」が外されて骨抜きになり、労働契約法の改悪にまで進んできている。
有期労働契約や派遣労働の問題を考えていくときに大切なことは、有期労働契約や派遣労働が解雇制限をすりぬけるための脱法行為であることを根本的に批判しなければならないということ。
ドイツ連邦労働裁判所大法廷は1960年、「業務が恒常的な場合、労働契約に半年や1年などのように期間の定めをすることは解雇制限をすりぬけるための脱法行為である」という判決を出した。以来、ドイツではこの規制が続いている。これは例えば、ブドウの刈り取りのような仕事の場合、刈り取りが終わればその業務自体がなくなってしまうので期間制限をつけてもやむをえないが、市役所や図書館のような仕事は、ブドウの刈り取りのようにその場限りでなくなってしまうものではなくずっと存在するのだから、このような恒常的業務で、労働契約に半年や1年など期間制限してはならないという。日本では逆。
日本の運動の課題としてもうひとつは、「非正規雇用労働者の低賃金の打破=正規職労働者との均等待遇」ということ。同じ仕事をしているのになんで非正規雇用労働者は賃金が低いのか。雇用形態による差別に、憤りを持たなければならない。
世界の非正規雇用労働者は、正規職労働者よりも賃金が高い。フランスでは同一価値労働同一賃金を立法化して、非正規雇用労働者の賃金は正規職労働者の賃金よりも10%高くなっている。派遣労働者や有期労働契約者を使うことによってメリットを受けている経営側から資金を出させ、雇用安定手当として非正規雇用労働者の賃金に上乗せしている。
これはイタリア、デンマーク、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどでも同様。この手当の支給は、韓国でも今回の総選挙で野党の民主統合党が公約として掲げるに至っている。
「非正規雇用労働者は不安定・低賃金で当然」という日本の常識は覆していかなければならない。

反貧困全国キャラバン
最後に、〈反貧困全国キャラバン2012〉についての提起があった。7月中旬に北海道と沖縄から出発して全国をめぐり、10月下旬頃に東京等のゴールにむかう。これに参加し、成功させることが訴えられた。(Y)

3面

大和田委員長の逝去を悼む

革命的共産主義者同盟再建協議会
革命的共産主義者同盟関西地方委員会

3月17日朝、港合同田中機械支部委員長・大和田幸治さん(以下、大和田委員長)が逝去された。享年85。
昨年、進行した大腸癌が発見されてからも、大和田委員長は癌克服の手だてを追求しながら、手を抜くことなく争議指導や労働者事業運営を続けられた。最期まで現場に仁王立ちし、労働者とともに闘い抜かれた壮絶な生き様、そして逝き様であった。
3・11原発事故、橋下市長の登場・・・という激変する情勢の中で、多くのことをやり遺した無念の急逝であったと思います。この日を覚悟してきたとはいえ、もっと共に闘いたかった! 心からの敬意と感謝をこめて哀悼の意を表します。
大和田委員長が残されたものを知りつくすことはできないが、私たちが学んだ一端を振り返ってみたい。

戦争体験
大和田委員長の闘いの原点には戦争体験があった。父の戦死、大空襲、幼子達を抱えた母の労苦、朝鮮人虐待や身分差別…。それは資本主義に対する根本的批判、戦争と差別のない社会、人と人、人間と社会との絆の中に全ての人間が幸せに生きられる社会を求めてやまない闘いへと連なっていったと思う。

団結権思想
揺るぎない団結権思想と理論こそ、大和田委員長の労働運動の根幹をなす。生存権保障のための崇高な権利である団結権(憲法28条)を軸にした闘いである。
死の一週間前にも、橋下の攻撃に晒された地域の市労連の労働者たちに、「団結権に対する認識、団結権を行使する知恵と闘争力、不当労働行為追及を軸にした運動展開が必要」と説き、「橋下は職員を殴ったり蹴ったりしとんのと一緒。これに甘んじるのか、こんな奴と断固として闘うのか。自ら闘わない限り勝てません」と檄を飛ばした。

暴力ガードマン追放
1970年代初頭、特筆すべきは細川鉄工支部の暴力ガードマン追放の闘いである。863日間、のべ32万人の労働者が連日、肉弾戦の昼休みデモを貫徹。正に地域共闘の力による勝利であった。

自己破産突破闘争
全金の南大阪の拠点・田中機械支部への倒産攻撃に対し、1978〜1989年、労働者は工場占拠と知術にたけた戦術展開で闘いぬき自己破産を突破した。企業をつぶしても労働組合はつぶせないことを見せつけ、「団結権」確保の金字塔を打ち立てた。大阪労働者弁護団の礎を築いたのもこの闘いであった。

百戦不殆
田中機械闘争の勝利記念の文鎮には「百戦不殆」(「敵を知り己を知ればどんな闘いも負けない」の意)と刻まれている。敵を知り、固定観念に縛られず、機を逃さない柔軟な戦術展開。勝利への執念、考えぬく日々の実践の中から豊かな戦術と、労働者の心をとらえ導く数々のスローガンが生み出された。

組合員主体の運動
大和田委員長が実践したのは、労働者が主体的に推進する組合運動。1960年代半ば、徹底した職場討議、団交権の職場への委譲を行い、臨時工60人の正社員化や女性差別賃金撤廃など先進的成果を実現した。組合分裂攻撃に対しては〈敵〉と〈敵の手先〉を区別して闘い、「ひとつの旗」を守りぬいた。
《受けた連帯は運動で返す》を合言葉に、勝利を港合同の拡大へと発展させ、社会の真の主人公となる労働者の《自覚的団結》を促した。女性と青年の力を信頼し、組合が丸ごとつぶれていく現状にたいし、企業の塀をこえた組合員の交流とチェックで歯止めをかけた。

労働者事業と住民
倒産争議支部が解決後に取り組んでいる労働者事業、住民福祉への寄与を目指す『NPOみなと』の立上げ、南労会の被解雇者らによる介護事業、環境事業の取組みなど、労働者の自立と「労働の社会的意味」を追い求め続けてこられた大和田委員長。新自由主義と闘う今日、その実践はますます意義を深めている。

革共同への思いに対し
革共同と大和田委員長の出会いは1960年代半ば、田辺製薬の臨時工の争議に遡る。革共同は70年安保沖縄闘争、「二つの11月決戦」、破防法弾圧との闘い、対カクマル戦争、80年代の革命軍戦略、三里塚闘争での83年3・8反対同盟分裂問題、86年泉佐野市議選弾圧と公務員労働者復職闘争など、闘いの節目ごとに温かい支援と同時に厳しい批判を受けてきた。阪神大震災支援、国鉄・4党合意労働委員会闘争、「5・27国労臨大」弾圧闘争では力強い指導をうけながら共に闘った。そして党の再生をかけた2006年3・14決起、その後の組織分裂は多大な心労を課すこととなった。
今日まで、かくも懐深く受け入れて頂きながら、ご支援、ご批判に未だ応えきれていないことは申し訳なく、痛恨の思いである。労働者が資本・権力に勝利できる団結と力を作ることに心砕き、「敵との関係を軸に」と団結を訴えられてきたことから更に学び、応えきる闘いをつくり出すことを誓う。

魂魄は労働者の中に
労働者とご家族をこよなく愛し、誰に対しても人格を尊重し、謙虚で義理に厚かった大和田委員長。大きく偉大でありユーモアたっぷり、細やかな心遣いと親しみ深い人柄は、労働者をひきつけてやまなかった。怒ったら震え上がるほど恐く、敵権力は畏怖した。その魂魄はこれからも労働者の中に生きつづける。ご遺志を引きつぎ闘います。

(2010年1月、関西
合同労組の旗開きで)
大和田幸治さん 略歴

全国金属機械労働組合港合同田中機械支部委員長、港合同事務局長。
1927年 大阪・天王寺区に生まれる。
1946年 三菱化工機(後の田中機械)に仕上げ・組立工として入社、労働組合に加入。執行委員、副組合長・青婦部などを歴任。同盟傘下でも社外工の本工化や女性差別賃金撤廃など全国的にも先進的な労働条件の改善を次々と実現。64年には総評・全金加盟、田中機械支部委員長、港合同事務局長就任。65年資本のロックアウト、第二組合結成・分裂攻撃を打ち破り67年に統一。以後、地域で、大阪、関西、全国で数々の労働組合結成や労働争議を指導、資本に「港合同」の名を轟かす。闘争から紡いだ「会社はなくなっても労働者の生活権・団結権はなくならん」などの名言は、労働者の心に生きる。著書 『企業の塀をこえて−港合同の地域闘争』(2001年刊)



JR尼崎事故から7年 福島と尼崎を問う

4月21日、「JR尼崎事故から7年を考える! ノーモア尼崎事故 生命と安全を守る4・21集会」が尼崎市の小田公民館で開かれ、80人が参加した。今年の集会は、JR尼崎事故と福島原発事故をふりかえり、今後どのような方向性と問題意識をもって労働運動に取組んでいくべきかがテーマとなった。
主催者は、「JR尼崎事故から7年たつが、JRの企業体質は変わっていない。このままではまた大きな事故が繰り返される。それをふせぐためにも事故の責任を追及していくことが重要。福島原発事故に見られるように、日本全体が安全や人命よりも金儲け優先の社会になっている。そのことを問い直す集会としよう」とあいさつした。
集会基調の提起に続き、福島県在住で鉄道事故の原因・調査と反原発の闘いをすすめている〈鉄道安全問題研究会〉の地脇聖孝さんが「尼崎と福島 今、私たちに問われているもの」と題して講演をおこった。 その後、4・25ネットワーク遺族の藤崎さんの発言をうけ、JR職場からの報告とJR株主市民の会の訴えがあった。集会終了後、参加者で事故現場まで追悼デモをおこない、献花してこの日の行動を終わった。(国労組合員 T)

※地脇聖孝さんの講演要旨は次号掲載予定

原発ゼロをめざして国会周辺で連日行動

4月11日夜、都内で「原発ゼロへ!止めよう再稼働 4・11アクション」がおこなわれ700人が参加。強い雨が降るなか、集会・デモ・請願行動がとりくまれた。主催は〈再稼働反対!全国アクション〉。
日比谷公園中幸門でおこなわれた集会では、満岡聰さん(医師)、服部良一さん(社民党衆院議員)、満田夏花さん(FoE Japan)、淵上太郎さん(経産省前テントひろば)、柳田真さん(たんぽぽ舎)、雨宮処凛さん(作家・活動家)、小川正治さん(プラント技術者の会)、桃井貴子さん(気候ネットワーク)、吉田明子さん(eシフト)が発言。汚染が続いている状況、再稼働議論の不透明さ、必要電力量についてのデマ宣伝等の問題が語られた。また、枝野事務所に1日2百件以上の抗議が寄せられているという状況が報告された。
〈プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会〉石地優さんが、携帯電話でメッセージを寄せ、「現地でも原発に反対する人は多い。他方で、雇用についての不安もあり、過疎地の構造的変革が必要」と訴えた。
デモは、まず国会に行き、請願行動をおこなった。その後、関西電力東京支社に向かい、「大飯原発の再稼働反対」の声をとどろかせた。

3夜連続の行動
4・11アクションをはさんで、10日と12日には、首相官邸前で、緊急アクションが取り組まれ、3夜連続の行動となった。

自立支援法の問題残す「障害者総合支援法」
連休明けの成立ゆるすな

4月26日、衆院本会議は、わずか14分で4つの法案を一括採択した。その中に「障害者総合支援法」も含まれていた(法案名「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案」)。この法案は「障害者自立支援法」にかわるものと厚労省はいっているが、同法を廃止する規定もなく、自立支援法の問題点に手をつけないものだ。
自立支援法の違憲訴訟で国が和解した条件(「基本合意」)に反するもので、〈障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会〉が出した「骨格提言」を無視するもの。 17日の衆院厚労委員会での趣旨説明以来、国会前に全国の「障害者」が連日100〜700人集まり、抗議行動を繰り広げた。「これは裏切り≠ナはなくだまし≠セ」「基本合意を守れ、骨格提言を無視するな」。これが「障害者」の思いだ。
連休明けの参院での審議にむけ、8日以降も毎日午前10時から、国会前での行動がよびかけられている。怒りの声をあげていこう。

4面

辺野古新基地建設を阻止し
沖縄闘争の歴史的勝利へ(上) 島袋 純二

〈目次〉
一、自己決定権を貫いて立ち上がる沖縄(今号)
 (以下次号)
二、米軍再編見直しと日米合意―沖縄人民の闘いに追い詰められる日米帝国主義
三、日本帝国主義の沖縄差別政策と対決し、普天間・辺野古・高江の闘いの強化・発展を


今年5月15日、沖縄は1972年5・15の「本土復帰」から40年を迎える。この「復帰40年」を沖縄闘争の新たな発展と勝利に向けた転回点として積極的に位置付け、これまでの沖縄奪還論を総括し、現在の沖縄の闘いにふまえた新たな沖縄闘争論を構築していく必要がある。

一、自己決定権を貫いて立ち上がる沖縄

まず、昨年末から現在までの沖縄における主だった動向を見ておこう。@普天間・辺野古・高江の闘い、A朝鮮民主主義人民共和国の人工衛星打ち上げに対する沖縄へのPAC3配備の問題、B東京都知事=石原が示した釣魚台(「尖閣諸島」)買い取りの問題、C米兵犯罪と日米安保の法的地位協定に対する闘い、D八重山地区における公民教科書採択の問題と無償配布を要求する竹富町の闘い、E沖縄戦における第32軍司令部壕の説明板から「慰安婦」と「住民虐殺」の文言を県当局が削除した問題、などである。
このうち、特に@とAについて確認しておく。

普天間・辺野古・高江
〈普天間〉
8年前に沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落・炎上した事故に示されたように、宜野湾市の市街地のど真ん中にある普天間基地は「世界一危険」であり、住民生活を日常的に脅かしている。
一刻も早く撤去されなければならないにもかかわらず、日米帝国主義は名護市辺野古地区への「移設」が実現しないかぎり、事実上固定化するという方針をとり続けている。米帝が普天間基地の老朽化の修理費を要求してきたことに対して、日帝が予算を計上したことは、そのことを明白に物語っている。
あまつさえ、事故を頻繁に起こしている危険きわまりないオスプレイ機を、今年9月ないし7月までに配備するという。当然にも宜野湾市民の危機感は一気に高まり、市当局の呼びかけで、6月17日にオスプレイ配備絶対反対の5千人規模の市民大会を開催することを決定した。
〈辺野古〉
辺野古に新たな基地をつくらせない闘いは、「普天間基地の県内移設絶対反対」という沖縄人民の強固な意識と闘いを切り崩そうとする様々な策謀との闘いとして展開されている。
「改正沖縄振興特別措置法」成立などのアメを与えて、仲井真知事を取り込もうと、日本帝国主義は野田首相をはじめ関係閣僚が総力をあげている。攻防の焦点は、今年6月の県議選と2年後の名護市長選・名護市議選である。圧倒的に少数の「基地容認」派を多数派に転化すべく、水面下で激しく動いている。
辺野古の闘いは現下の沖縄闘争の最大の要であることを確認し、勝利へ向かって闘いの陣形を地元と全国でさらに強化していこう。
〈高江〉
高江のヘリパッド建設阻止の闘いは、沖縄防衛局と激しく対決して闘われている。
基地の入口に自動車を並べてバリケードを築き、ローテーション体制で常時座りこみと監視態勢をとり、重機搬入と作業員立ち入りを阻止している。この陣形をさらに強化していく必要がある。辺野古の闘いと一体のものとして、地元はもとより、全国的な支援態勢を形成・拡大していくことが求められる。

PAC3配備
朝鮮民主主義人民共和国が、金正恩新体制の確立と一体のものとして、4月13日に打ち上げた人工衛星は失敗に終わった。日米をはじめとする帝国主義諸国は、打ち上げロケットに「大陸間弾道ミサイル」というレッテルを貼り、「国連安保理決議」違反だと強弁した。日帝はイージス艦の展開とPAC3の配備による「迎撃」態勢をとった。
特に重視しなければならないことは、日帝がPAC3を沖縄島の那覇市と南城市、および宮古島と石垣島の4カ所に配備し、自衛官950人を与那国島も含めて配置したことである。
問題の核心は、日本帝国主義が「ミサイル迎撃」を口実として、新防衛大綱における動的防衛力展開の態勢をとり、その重要な拠点として南西諸島の防衛体制を先取り的・実戦的に敷いたということである。恐怖と排外主義を煽り立て、沖縄人民の「反戦・反基地」の意識を解体し、「防衛のために抑止力となる軍事基地は必要だ」という論理を沖縄人民に認めさせようと狙ったのだ。
沖縄人民は、かつての沖縄戦で戦争の残酷さと非人間性を体験した。「二度と戦争を許してはならない」「戦争への道を絶対に阻止する」ためにも、日帝の戦争体制確立に向かっての動きは断じて認めるわけにはいかない。沖縄島と宮古島・石垣島ではそれぞれPAC3配備に抗議する行動が展開された。

今日まき起こっている普天間・辺野古・高江の闘いを先頭にした沖縄人民の広範な大衆的決起はきわめて重要である。その核心に貫かれているのは、日本帝国主義の伝統的な沖縄差別政策に対する怒りと、戦争態勢構築に対する沖縄戦の体験に根ざした危機感である。それは日本帝国主義の構造的な沖縄差別体制と全面的に対決し、自らの力で自らの解放をかちとっていく沖縄人民の自決・自己決定権の発動であり、行使に他ならない。沖縄人民が自決・自己決定権を貫いて日米帝国主義と対決し闘っていくことの中に、確固とした勝利の展望と歴史的解放の未来が切り開かれていく。同時に、沖縄人民の闘いと連帯した「日本」人民自身の闘いが求められているのだということも確認しておきたい。(つづく)

普天間基地の国外・県外移設を求める県民大会に参加した名護市辺野古地区の住民(2010年4月25日 読谷村運動公園)

許せない 沖縄差別
密約に縛られる政府 4・20東京

「この4月10日、宜野湾市の小学校入学式、その最中にFA18戦闘攻撃機が12機も普天間飛行場に飛来して離着陸を繰り返しました。そのため入学式は中断されたのです」と元宜野湾市長の伊波洋一さんは話した。「今なお普天間第2小学校では、100デシベルを超える爆音や90デシベル近くの騒音のなか、たびたび授業が中断されている」とも。
4月20日、東京の全電通会館で開かれた「ガッティンナラン!沖縄差別4・20集会」に参加した。主催は平和フォーラムと沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック。「ガッティンナラン」とは「許せない」という意味。
「『復帰』40年・サンフランシスコ条約60年」と副題が付いているとおり、今年がそういう意味で重要な年であり、今もって「沖縄差別」を続けようとする野田民主党政権とのたたかいが、ますます問われているだと今さらながら思わずにはいられなかった。

日米密約
伊波さんは、講演で次のように訴えた。
「選挙(市長選)では勝利できなかったが、けっして宜野湾市は基地の固定化を認めたわけではありません。もちろん辺野古での新基地建設、また危険なオスプレイの配備は絶対許さないし、県民全体のたたかいで勝ち抜いていく」
沖縄「返還」後、40年間も沖縄の米軍基地状況が改善されず放置されるのも、日米密約に日本政府が縛られているからだ。外務省の機密文書「地位協定の考え方」では、密約を含む地位協定による米軍の特権を細かく解説している。人口密集地に囲まれる普天間飛行場は、航空法上の飛行場ですらなく、日米の航空機安全基準は適用されない世界一危険な運用がなされている。アメリカは、「環境や安全に配慮する」とする日米合意を守らず、基地の自由使用権を平然と行使している。「普天間の騒音規制措置」など日米合意があるものの、まったく守られていないし、日本政府も何も言わないのが現状だ。
「米軍にNOと言えない日本政府、これを今こそ問い返さないと」と伊波さんは訴えた。
ほかには、沖縄平和運動センター・山城博治さんの講演、嘉手納・普天間と全国基地爆音訴訟原告団からの報告などがあり、内容濃い集まりとなった。(神奈川・F)

沖縄から様々な闘いが報告された(4月20日 東京)

自衛隊が海外に訓練場を建設
テニアン・フィリピン

4月27日、日米両政府は〈在日米軍再編見直しの中間報告〉を発表した。その報告で、自衛隊の海外展開に関する新しい動きを打ち出した。
「動的防衛協力」なる名称で、米軍と共同して、アジア太平洋地域に全面展開するというのだ。具体的には、「米保護領」テニアンに恒常的な共同訓練場を建設するという。
さらに、中間報告には明記されなかったものの、日米両政府はフィリピンの米軍基地を日米共同訓練場とすることで検討を開始した。ルソン島、パラワン島の基地が候補にあがっている。
これらの動きは、自衛隊が、「対中国」を名目に米軍と一体化して、アジア太平洋地域で日常的に軍事展開することを意味する。訓練と称しても、軍事力の行使であることに違いはない。憲法違反だ。自衛隊の〈アジア太平洋での恒常的軍事展開〉を許すな。

5面

第3期沖縄意見広告運動
基地撤去の民意示そう

伊波洋一さん

4月13日、伊波洋一・元宜野湾市長をむかえ、〈3回目の沖縄意見広告〉を成功させる集会が大阪市内で開かれ、200人が参加した。
開会あいさつにつづき、連帯労組関西地区生コン支部の武建一委員長が発起人あいさつをした。沖縄闘争に連帯する内実として、一人ひとりがみずからの意志として米軍基地撤去を新聞への意見広告として表明することの意義を強調した。

伊波元市長を迎えて
伊波洋一さんは、2月の市長選で敗北したことに触れ、市長は替わったが基地撤去の民意は変わらないと断言。沖縄意見広告運動など訪米団のたたかい、アメリカ世論の動向、共和党内の異論を紹介。日米合意も米政府次第、財政危機にあえぐ米政府に、沖縄基地撤去の強固な意志を突きつけ、政策変更を迫ろうと訴えた。朝鮮民主主義人民共和国「ロケット発射」を口実にした沖縄への自衛隊配備や、今夏オスプレイ配備を弾劾し、これらに負けず、5・13県民大会と、その前日の〈意見広告〉で意志を示そうとよびかけた。

広がる各地の取組み
部落解放同盟大阪府連、沖縄の高江・辺野古につながる奈良の会、平和憲法を広げる兵庫県民会議、全国金属機械港合同が、それぞれ決意表明。服部良一衆院議員が連帯のあいさつをした。
奈良の会は、修学旅行でのつながりから、奈良の市民団体を網羅する沖縄への取り組みを語り、港合同は6・23―10・21の反安保の闘いに沖縄の課題をすえて闘ってきたと報告。具体的な取り組みと意見広告が結びつく意義が確認された。
野田政権は、確定世論としての「普天間基地撤去・辺野古新基地建設反対」を覆すため、閣僚級の人物を次々と沖縄に送り込んでいる。
沖縄意見広告は「復帰」40年の5月15日を前に、沖縄2紙と本土1紙に全面広告として掲載される。沖縄基地撤去の声を、新聞意見広告で表明しよう。

投稿 自衛官は なぜ退職せずに自殺してしまうのか
元自衛官 鈴木一夫

3月に『自衛隊員の人権は、いま』(浜松基地自衛官人権裁判を支える会編/社会評論社)という本が出版され、さっそく手にとった。私は定年退職するまで長年、自衛隊に勤務してきた。以下、その体験から感じることを書いてみた。
本書に「40年目の宿題」という一文がある。かつて1960年代〜70年代の頃、自衛官が夜学に通うことに、深く考えることもなく反対を唱えたことに対する未熟さへの反省が書かれている。
このように心ある市民や労働者が自衛官の人権のために闘っている現状を見ると、「税金ドロボー」と呼ばれた若き時代を振り返り、感慨深いものがある。

辞めたら人生の終わり
さて本題の「自殺」問題である。現在の自衛隊は、徴兵制ではなく全員志願制であり、「有事」でない限りは法的には自由に退職ができるはずである。しかしながら、現実には簡単に辞める事ができないようになっている。勝手に職場から出て行ってしまうと「脱柵」といって脱走扱いになり、部隊で大掛かりな捜索を実施し、処罰の対象になってしまう。
以前、私のごく身近な若い隊員も首を吊って自殺した。彼は、「自衛隊を辞めてしまったら、自分には行くところがない。辞める時は自分の人生の終わりだ」と言ったと伝え聞いた。彼の父親は自衛官、近親者にも自衛官が多かった(自衛官には、近親者に自衛官がいるものが多い)。そのような環境の彼には、現実に「退職」という選択肢は存在していなかった。もちろん彼の家族は、自衛官の父親も含めて、彼が自殺することは決して望んでいるとは思えなかったが。
自衛隊内では、「自衛隊を辞めたらお前なんか生きている意味がない」というような言い方をする。「辞めるやつは脱落者であり、どんな世界へ行こうとだめな人間だ」「辞めるやつには生きている価値がない、生きている資格がない」といった言い方をする。
簡単に辞めさせない背景には、通常の職場とは異なる特殊性が存在しているからである。
通常の単なる給与を稼ぐための職業とは異なり、武装し合法的に他者を殺傷することが許された、と同時に強制された存在である。
「有事」の場合、職務離脱は犯罪として処罰される。7年以下の懲役または禁固となる。通常の軍隊であれば、敵前逃亡は死刑もありうる。
もちろん平時においては法的には罰則は規定されていないが、有事の場合の延長的な感覚として、辞める人間に対しては「裏切り者」といった見方が少なからず存在している。
自衛隊以外の社会ならば「辞められない」といった問題で自殺するという話は出てこないだろう。むしろ、不本意に解雇されることの方がはるかに多い問題だと思う。
「自衛官の人権を守らなければならない」という運動は大切である。軍隊の保持を禁じた憲法9条は、国内外の多くの生命財産を犠牲にした反省からようやく獲得された貴重な財産である。しかし、自衛隊が戦闘を本質とする組織であり軍隊である現状から問題を見据えていかないと、問題の解決には迫れないと思う。
本書に書かれた意見の多くについてはいろいろ検討すべき事もあると考える。しかし、このような運動が広がりつつあることは、「組織としての自衛隊と、個々の自衛官の存在ということを、区別するべきだ」という考え方が定着しつつある事だと思う。
多くの方が、自衛隊をどうすればよいかを考えるために、ぜひ読まれるようお勧めする。

原発収束作業の現場から
ある運動家の報告 ―第5回―

W 原発労働の現場と反原発運動とのかい離

――原発の現場に入って、労働者の命と権利を守るための方向は見えましたか


簡単ではないことが分かりました。ムラ社会の中に、労働運動をもちこむことの難しさがあります。声を挙げたら一生食えなくなる。

――住民運動・市民運動・農民運動など全体の力で、原発労働の厳しい現実をも跳ね返していく、ということではないかと考えますが


そういうことも考えています。ただ、現状だと、それを一緒に作っていくという方向を、反原発運動の側が向いていない。逆に原発労働者を孤立化させるように、運動の側が世論を形成しているように感じられます。

――というと


「東電社員の賃金なんかカットしろ」といったことを運動の側が言いますよね。もちろん東電は悪いですよ。
だけど、そうすると何がカットされるかといったら、東電社員の賃金もカットされますが、作業員の賃金もカットされるのです。本当にひどい構造。
例えば、「東電を解体しろ」と言う。そこら辺までは分かります。でも、東電や協力企業を全て潰してしまったら、実は、原発が動かないという次元の問題ではなくて、収束や廃炉の作業ができなくなってしまうんです。

――作業ができなくなる


原発労働者が足りなくなっています。
放射線管理手帳をもっている労働者は約8万人。その内の3万5千人が、もういっぱいまで浴びています。9カ月で半分に減ったんです。今のペースで行くと、たぶん(2012年)夏ぐらいには、原発労働者の人数は枯渇するんです。
そうなると1F(福島第一原発)の収束作業はもちろん、他の原発の冷温停止を維持することさえもできなくなる危険性があるんですよね。
まして廃炉というのは、1Fの作業で分かる通り、人数がものすごくいる。国内の54基全部を廃炉にするというなら、数百万人の労働者が必要です。
収束とか廃炉とかの作業を、原発労働者がやっているという感覚を運動の側が持っていない、身近なものとして感じていないという気がします。
「廃炉にしろ」と、東京の運動が盛り上がっているんですけど、語弊を恐れずいえば、特定の原発労働者、8万人弱の原発労働者に、「死ね、死ね」って言っているのと同じなんですよね。「高線量浴びて死ね」と。自分たちは安全な場所で「廃炉にしろ」と言っているわけですから。
原発労働者を犠牲に差し出すみたいな構造が、反原発運動に見られると思います。
そういう乖離した状況があるので、福島現地や原発労働者の人と、東京の人が同じ意識に立って反原発・脱原発の方向になることは簡単ではないと感じています。

――自らの問題として、廃炉というテーマに向き合う必要があると


そうですね。廃炉という問題にたいして、みんなが少しずつ浴びてでも作業をするのか、「いや、原発反対なんだから作業もしないよ」というのか。「被ばく労働なんてごめんだ」といってしまうと、では廃炉の作業はどうするのか。東北の人に押しつけるという意味でしかないですね。
希望的理想的に言えば、1人が100ミリシーベルトを浴びるんじゃなくて、100人で1ミリシーベルトを浴びようよと。
しかし、現実的には、みんなが、そういう気持ちになるというわけはいかないと思います。
とすると、2つ道があります。
1つは、原発労働に従事するからには、被ばくするわけだから、「健康の問題について、一生、見ます。もし何かあったときは補償もします。賃金も高遇します」という風にするべきです。もちろん中抜きはありませんよ。準国家公務員みたいな形で雇ってね。
もしくは、2つ目は、徴兵制みたいに、「何月何日生まれの何歳以上の人は、ここで1週間、被ばく作業をして下さい」みたいに強制的にやるか。
後者は、すごくいやなんですけど、でも僕が、実際に原発労働をして思ったのは、これは、反原発運動をやっている人は、全員やったほうがいいんじゃないかなということです。
反原発だけではなくても、もしそこで原発の電気で恩恵をこうむっているのなら、やるべきではないかという気持ちになっています。(つづく)

6面

一日も早く脱原発を
「原発はいらん!若狭一日バスツアー」に参加して

「うわー、あれ何?」バスの中で声が上がる。見ると、おびただしい数の送電線鉄塔。
北陸自動車道・敦賀インターチェンジを出て、福井県美浜町に入ると、突然現れた大きな変電所。美浜原発でつくられた電気を、関西各地へ送るためのものだ。電磁波がいっぱい出ていることだろう。
4月8日の日曜日、〈3月行動を呼びかける女たち〉が主催するバスツアー。大型貸切バスの補助席までいっぱいにして、女性45人、男性5人、子ども5人が参加。(現地参加含む)
行きの車中では、参加者の自己紹介、原発クイズ、ミニ学習会、があった。

初めて知ったこと
原発クイズは、〈原発の危険性を考える宝塚の会〉から。三択や○×クイズで、原発の本質を突く出題で、初めて知ったことがいっぱいあった。
・世界には約430基の原発がある。アメリカ100基、フランス60基、日本59基(廃炉中、廃炉決定を含む)、ロシア30基。フランス・ロシアはほとんど地震がない。アメリカはほとんど東海岸。狭い日本は地震大国なのに59基も。
・原発が一番多くある県は原発銀座と言われている福井県。軽水炉13基、高速増殖炉もんじゅ1基。
・日本の54基(3・11がなければ稼働していたであろうすべての商業炉)の内30年を超えるのが19基、20年超えが17基、10年超えが13基、10年未満が5基。関電の原発で一番古いのは築41年。大阪万博の時、「原子力の火」として大宣伝された。美浜41年、39年、35年。高浜37年、36年、26年、18年。大飯が32年、32年、20年、18年と年寄りが多い。
・定期検査は13カ月ごと。
・津波は約1・5メートルしか想定されていない。これには皆びっくり。最低でも3〜5メートルは想定されているものと思っていた。
・原発1基を建設するのに5000億円、火力発電1基の建設費は200億円。いかに安全神話の中に多額の金が投入されてきたか。

車内ミニ学習会
〈若狭連帯行動ネットワーク〉の久保良夫さんが講師となって、ミニ学習会。
福島事故で斑目さんが、安全基準そのものに瑕疵があったと言っている。安全基準そのものが間違っていた。今、暫定基準ではなく新しい安全基準ができたと言っているが言葉にだまされてはいけない。
原発を続ける限り、使用済み核燃料の処理・処分問題が残る。どんどん増え続ける。どう処理するか、何の見通しもたっていない。
問題があるにもかかわらず再稼働を認めると、子や孫の時代、その次の世代にも問題を山積みにしていくことに手を貸すことになる。使用済み核燃料を生み出す原発は止めるということを訴えていく。これを前提に、詳しい資料を使いながら学習。
地図を見ると、福井県の形は母親の胎内の赤ちゃんの形をしている。その手に当たる部分が敦賀半島。人口80万人の福井県に14基もの原発。断層の地図と合わせてみるとひじょうに危ない。過去にも地震で原発が緊急停止している。地球が生きている限り地殻変動は起きる。M7クラスの直下型地震がいつどこで起きても不思議ではない。地震を防ぐことはできないが、原発震災は防ぐことができる。
原発の部品はひとつでも損壊すると大事故の危険がある。経済性を最優先するため、事故の度に規制を強めるどころか緩くしてきた。今回の放射能の基準もそうだ。原発は被曝労働なしには動かない、脱原発こそが夢を描ける社会である。

森と暮らすどんぐり倶楽部
〈森と暮らすどんぐり倶楽部〉は、美浜町の山間部にあり、川には雪解水が流れている、のどかなキャンプ場だ。美浜町でずっと昔から反原発運動を続けてきた松下照幸さんが運営している。天気がよいので、松下さんの話を外のテラスで聞いた。
豊かな自然を十分に生かした活動をしている。森は地下水を供給してくれるし、CO2や酸素をつくる、洪水を防ぐし、気温の平準化をしてくれる。木工所・テラス・ピザ焼き窯、五右衛門風呂も、ぜんぶ自分たちでつくった。電気も水道も何もないキャンプ場も作っている。西日をカットする森を作り、気化熱があるので、クーラーもいらない。
この近くには関電・日本原電・原子力開発機構、その下請けがどっさりいる。ここで原発に反対しているのは厳しい。10年間、排除(村八分)されてきた。
最近変わってきた。官民で「はあとふる」体験というのをしている。たくさん来てくれるようになった。これから自然エネルギーあふれる町にしていく。ここから見える山の稜線が滋賀県との境。ほんとに近い。もし若狭で原発事故があったら、琵琶湖はすぐに汚染され、関西はたちまち影響を受ける。

関電PR館へ
〈福島支援の黄色いジャンパー〉を着た私たちが、バスから降りてぞろぞろと入っていくので、PR館の人はオタオタ。3・11を全然反省していない態度で、マニュアルどおりの簡単な説明。館内は明るく、ゲーム感覚で原発の安全性をPR。
参加したそれぞれ団体・個人から、申し入れ書を読み上げ、手渡した。「再稼働は断念して」「電力不足の恫喝は止めて」「原発に代わる自然エネルギーに」「子どもたちの将来を守る施策に責任を持って」と怒りのこもった申し入れを読み上げた。
帰りのバスでは、それぞれが今日の感想やこれからの取り組みを紹介し交流した。疲れて眠るかと思っていたが、皆お互いの情報交換でにぎやか。力強い女性パワーを実感した。
最後に〈若狭連帯行動ネットワーク〉が、「大飯原発3・4号炉の再稼働に関して、何としても全原発停止状態を作りたくない政府は、枝野経産相が福井県庁に来て地元合意を取りつけようとしている。その時は緊急闘争に駆けつけて」と訴えた。
一日も早く脱原発を実現しよう。(大阪・S)

新たな捜査手法と共謀罪ゆるすな

4月14日、〈共謀罪に反対する市民連絡会・関西〉が主催して、「新たな(ダーティーな)捜査手法とは」集会が、大阪市内でひらかれた。
山下幸夫さん(東京弁護士会。日弁連の共謀罪等立法対策ワーキンググループなどに所属)の講演と、「山下さん+永嶋靖久さん」対談がおこなわれた。

非合法手段を合法化
山下さんは、新たな捜査手法導入にむけた「これまでの動き」「これからの創設の動き」「共謀罪法案との関係」などについて、詳しく解説。
特に、法律化される可能性が高い3件として、@DNA型データベースの拡充、A通信傍受(盗聴)の拡大、B仮装身分捜査、をあげた。
@は、現状では法律的根拠がないにもかかわらず、警察は、身柄拘束した「被疑者」から、勝手にDNAを採取している。これに法律的根拠を与え、より大規模におこない、すべてをデータベース化しようというもの。
Aについて。警察がおこなっている盗聴は、法律上一定のわくがあり、「公然たる」盗聴は限定されたものとなっている。しかし、「非合法な」盗聴は相当な規模でおこなわれている。こうした実態を、盗聴法の拡大で合法化し、いっそう野放図な盗聴に道をひらこうというもの。現在は通信の盗聴だが、ゆくゆくは、会話盗聴(室内に盗聴器をしかける)なども視野にいれている。
Bは、仮装身分証明書の使用、仮装身分による法律行為の合法化、仮装身分捜査員の真正身分を暴露・漏えいすることを罰する、公判での匿名使用、車のナンバープレートの付け替えを合法化、など。

共謀罪導入と一体
仮に共謀罪が成立した場合、現行法に基づく捜査手法のみでは「犯罪立証」が困難なため、新たな(ダーティーな)手法を合法化する必要性にせまられていると、山下さんは解説。法制審議会特別部会の中で議論される可能性が高いので、その動きを注視していこう、と結んだ。
対談で永嶋靖久弁護士は、「イギリスでは、取り調べで黙秘したら罰するということが始まっている」と驚くべき実態を紹介した。
新たな捜査手法導入と共謀罪は、どちらもごめんだ。葬り去ろう。