資本主義の破局と終焉
共産主義社会への移行の時代

通信員HT


いま世界が直面している事態は何か。「市場主義の失敗」、「新自由主義の破綻」、「アメリカ式の金融システムの崩壊」などと言われるが、どれも危機の本質とその深さをとらえていない。産業革命以来の資本主義、帝国主義段階の資本主義、2つの世界大戦後に再建された資本主義、新自由主義で延命を重ねてきた資本主義がついに破局を迎えた。資本主義社会を打ち倒し、共産主義社会に移行するときがきたのだ。

T、世界経済の崩壊と世界戦争

「ドルの流動性が枯渇した」(日銀白川総裁)

9月後半以降、欧米金融機関がドル資金を調達できなくなっている。信用崩壊が始まっているのだ。
もともと、金融機関は、互いに資金を融通しあい、その連鎖の中で手持ちの資金を大きく膨らませてきた(信用創造)。とくに今日、投機化した経済の下では、どの金融機関も手持ちの資金をほとんど持たず、レバレッジ(借金による投資をくり返し、少ない元本で数十倍の貨幣を手にする手法)で運用競争をしてきた。そうすることで、実体のない架空の投機経済を激しく膨張させてきた。
だから、いったん破綻がはじまると、逆レバレッジが働いて、膨らんだものが激しく収縮する。金融機関は巨額の損失をカバーしようとして、膨張した貨幣資本から資金を回収する。 膨張し続けた貨幣資本が、一転、縮小の一途をたどる。
こうして、金融機関が資金を調達できずに倒産する。それがウォール街を直撃した。しかしまだ序の口である。これからアメリカだけで、数百の金融機関がバタバタと破綻する。そしてそれは、世界中に波及する。

「ウォール街が消えた」

ウォール街の投資銀行の相次ぐ破綻は、グローバリゼーションの中心をなした金融コングロマリット(複合体)の崩壊である。
架空の貨幣資本へと基軸が転換(V章で詳述)し、資本主義が投機経済化する中で、貨幣資本は、金融コングロマリットを形成した。ウォール街の投資銀行が、銀行、証券、保険などを傘下におさめ、財務長官のポストも握った。世界の金融覇権の中心を握り、手前勝手な会計基準や格付けを世界に押しつけてきた。
グローバリゼーションといわれてきたこの構造が、その中心から瓦解した。膨れあがった貨幣資本が、ついに貨幣資本自身をも破滅させるに至ったのだ。

恐慌回避策は危機を促進

アメリカなど各国政府は、恐慌を回避しようとして、血相を変えて膨大な貨幣の追加投入を行なっている。
しかし、信用崩壊を回避するための公的資金投入も、不良債権の買い取りの資金投入も、架空の貨幣資本を減らすどころか増やし、投機を促進することにしかならない。ハイパーインフレを引きおこす。危機回避策がいっそう危機を促進する末期症状である。

国家財政破綻とドル暴落

不良債権の政府買い取りは、アメリカの国家財政を確実に破綻させる。
世界の金融機関が抱える不良債権は推定1・3兆ドルとIMFが発表したが、過小評価だ。世界のデリバティブ(金融派生商品)の総額は596兆ドルに達するといわれる。この全部ではないにしても、軒並み紙くずになる。そのどれだけが直接にアメリカに係わるかは定かでないが、救済資金7千億ドルではまったく問題にならないだろう。さらに、次々と破綻する金融機関の支援・管理、ローン債務者への支援など莫大な財政出動を余儀なくされる。これにイラク・アフガニスタンの戦費が加わる。アメリカの財政破綻は必至である。
この期に及んで誰が米国債を買い支えるのか。他の帝国主義国も企業も、資産はドル建てなので当面は協調するが、それにも限度がある。米国債が格下げされるか、米国債の金利が急騰するか、いずれにせよどこかでドル暴落が現実化する。
しかし、国家財政破綻とドル暴落などという事態を、アメリカ帝国主義は受け入れられない。だからこそ、全世界に矛盾を押しつけ、戦争で破壊する道に突き進む。「長期にわたる戦争」(06年QDR)とは、そういう踏み切りなのだ。

世界経済の崩壊

世界経済は、アメリカのバブルの上に成り立っていた。それは、一方で、証券化バブルとドル高の演出により、世界の資金がアメリカに集中し、他方で、消費バブルのアメリカに世界中が輸出するという構造であった。そして、その土台には、サブプライムローンという詐欺によって作為された住宅バブルがあった。
サブプライムローン危機の発生は、この何重ものバブルで浮揚した世界経済の全構造を崩壊させるのだ。
アメリカ発の金融恐慌突入が、世界経済全体を崩壊にたたき込むことは不可避だ。
日本ももちろんだが、とりわけ中国の抱える危機と矛盾が爆発することは間違いない。
実体経済への波及が始まっている。アメリカをはじめ、世界の新車販売が、この9月大きく落ち込んだ。自動車産業とその関連市場は、世界のGDPの約1割を占める。
これは労働者人民にたいする大失業攻撃として襲いかかるとともに、帝国主義間の究極のつぶしあいに突入する。保護主義の台頭と資源争奪戦の激化は、その導火線である。

U、生きるための内乱の開始

こうしたすべての矛盾が、労働者人民に襲いかかっている。ウォール街では4万人が解雇されようとしている。9月の米雇用は、約16万人が削減された。トヨタは、アメリカの3工場で一部操業を停止した。中国の工場でも減産し、日本では期間従業員の削減をはじめた。
さらに恐慌回避策で投入された通貨は、激しいインフレを引き起こす。年金・雇用・住宅の喪失、食糧・燃料の高騰で、労働者人民には、餓死・凍死が待っている。
ところが、上位1%のアメリカの最富裕層は、国民全体の総収入の22%を占め、過去80年で最大を記録している(06年度の米政府統計)。
「金融安定化法案」は修整のあげく議会を通過したものの、労働者人民の猛然たる反対は、資本家とその政府を震え上がらせた。暴動・内乱のはじまりである。反政府暴動の拡大に恐れをなした政府は、10月1日から米陸軍の実働部隊を米本土に駐留させることを決定した。州兵を除く連邦政府軍は法律によって米本土には駐留できないにもかかわらずである。国防総省傘下のアーミータイムズは「敵を殺さずに抑制する技能や、道路封鎖など、米国民が起こすかもしれない暴動を鎮圧するための訓練をする」と報じている。

V、資本主義には必ず終わりがある

われわれは、この事態を、歴史的本質的な文脈の中でとらえる必要がある。

生産資本から貨幣資本へ

すなわち、・資本主義は、その原理として、発展(拡大再生産)を重ねていくと、必ず「資本の絶対的過剰生産」(マルクス『資本論』・貨幣はあるが、もはや生産に投資する対象がない状態)に陥り、発展・拡大が頭打ちになる。現実には、そこに至る前に恐慌が爆発し、経済が崩壊する。つまり資本主義には必ず終わりがある。ただし、膨大な貨幣を追加投入することで恐慌を先送りできる。しかしあくまでも先送りでしかない。結局、完全な「資本の絶対的過剰生産」に至ると、もはやいくら貨幣を追加投入しても、恐慌は避られなくなる。こうして資本主義が完全に行きづまる。
・戦後の資本主義は、すでに1970年代には発展が行きづまり、「資本の絶対的過剰生産」に向かっていた。・それに対し、アメリカなど帝国主義各国は、金融市場に膨大な貨幣を投入し、恐慌を先送りする政策をとってきた。・その中で、80年代を境に、資本主義の基軸が、《生産過程に投資し搾取で利潤を得る》生産資本から、《投機と詐欺と略奪で利潤を得る以外にない》架空の貨幣資本に転換していった。新自由主義とは、この架空の貨幣資本の利害を押し出したものであった。架空の貨幣資本が資本主義を投機経済化していった。・恒常的な侵略戦争をもってアメリカのドルと石油の支配を続けることがその土台をなしていた。
・しかし、架空の貨幣資本が膨らませてきた投機経済がついに崩壊し、恐慌の先送りができなくなった。つまり、いま起きている事態は、資本主義の完全な終わりなのだ。

「終わりの始まり」

貨幣資本への基軸転換、資本主義の投機経済化は、資本主義の「終わりの始まり」だった。
貨幣資本は、もともと実体経済の発展を支える存在であった。ところが、その貨幣資本が、生産資本の外部にあって、投機と詐欺と略奪で、実体経済から収益をむしり取っていく。貨幣資本は、生産と経済を破壊する存在として立ち現れる。
資本が自らの存立基盤である生産と経済を破壊する。それは、資本主義そのものが、自己否定の段階に至ったということだ。資本が破壊者であり、不要であることが完全に明らかになった。
膨れあがった貨幣資本は、最後的には貨幣資本自身も破滅させる。それが貨幣資本の宿命であり、資本そのものの宿命である。

「終わりの終わり」

サブプライムローン問題をはじめとする証券化商品の破産は、貨幣資本が基軸となった資本主義の「終わりの終わり」である。
もともとローンも組めないような貧困層の労働者にまで貸し付けを行なうということ自体が、資本として機能できない貨幣資本が膨大に存在していることを示している。そして、ローン返済が不能になると分かっていたから、保険の手口で他の証券と抱き合わせて、それを世界中に売りさばいていた。ところが、破産が大き過ぎて保険がきかないどころか、その保険をも破産に巻き込んで、大破産となってしまったのである。
これが架空の貨幣資本が最後に行きついた先だった。

W、プロレタリア革命で共産主義社会つくろう

資本主義の投機経済化は、資本主義の「終わりの始まり」だった。そして投機経済の崩壊と金融恐慌の爆発は、資本主義の「終わりの終わり」である。
今こそ資本主義を打ち倒し、共産主義社会に移行するときが来ているのだ。すでに現実の生産は、労働者と雇われ経営者で行われている。労働者・民衆の力で社会を運営する条件は整っている。大恐慌が始まった今こそ、経営者・資本家をたたき出し、現実の経済・生産を握りしめよう。その展望をもって労働運動を前進させよう。
いまひとつの問題はブルジョア国家の暴力支配をうち破ることだ。アメリカ帝国主義による米軍の世界展開、在日米軍と沖縄基地、日本帝国主義の自衛隊・警察・官僚をうち破るたたかいに、イラク・アフガニスタン反戦闘争と改憲阻止をかかげ立ちあがろう。今こそプロレタリア暴力革命が必要だ。
(革共同通信18号掲載)


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